ユーロドルは、一時1.1589ドルと昨年7月24日以来約1年2カ月ぶりの安値を更新した。
本日の東京時間のドル円は、堅調地合いを維持できるか。ドル円だけではなく、ドルがほぼ全面高になっている。クロス円を見ると下落している通貨もあることで、円安ではなくドル高の流れで、簡単にこのトレンドを変えることは難しそうだ。
ただし、依然として大きなネガティブ・リスクが山積みなことには要注意だ。米国からは連邦債務上限が引き上げられず、米国が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクがある。上下両院で様々な交渉が行われているが、与党民主党上院内でもウェストバージニア州選出のマンチン議員とアリゾナ州選出のシネマ議員への説得が昨日も行われたもよう。サキ米大統領報道官は、昨日にシネマ議員がホワイトハウスのスタッフと会談したことを認め、「重要で意義のあるものだった」と述べたが、進展については言及していない。
米国以外には引き続き中国恒大集団のリスクに注目。昨日は恒大集団が中国東北部地銀の盛京銀行の非流通内資株の売却を、遼寧省瀋陽市政府の支配下にある瀋陽盛京金控投資集団に譲渡することで合意した。恒大集団は盛京銀行への債務の返済に充てるための行動だが、他銀行への債務なども膨大なことで、まだ恒大問題の解決の糸口が見えてこない。明日10月1日からの国慶節が始まることで、中国政府が本日までに何らかの決断を下すのかどうかが注目される。なお、本日は中国から製造業購買担当者景気指数(PMI)、Caixin中国製造業PMIが発表される。
これらの大きなリスクがあるにもかかわらず、市場はドル買いに動いている。一部では「楽観バイアス」がかかっているとの声もある。危険が迫っているときには楽観論が広がりやすいとの声もあることで、警戒は怠らないようにしたい。なお、昨日自民党総裁に選出された岸田氏だが、10月4日召集の臨時国会で首班指名の予定。週末を含め、これから様々な経済対策などが発表されるだろうが、党の主要ポストの名前を見る限り期待が薄いという声が多く、為替市場への影響は軽微だろう。
また、本日は月末ということもあり、東京時間ではないが欧州入り後は月末・期末の特殊玉には要警戒となる。特にロンドンフィキシング(日本時間24時)の値動きには注意したい。