今回は移動平均線の最も重要な指標について解説します。
トレンドの中で移動平均線を使用し、何をするべきか、何を知っておくべきかについてお話しします。
移動平均線について
移動平均線を特別なものにしているのは、移動平均線を使用してトレンドがいつ発展しているかを非常に簡単に理解できることです。
トレンドのポイントは、価格が特定の方向に向かって安値と高値を上げていることです。
これが発生すると、移動平均線を使用してプロットされた以前の価格から乖離することを意味します。
ここで100期間の単純移動平均線を表示します。
トレンドの傾向がない場所では移動平均線が価格に非常に近いことがわかります。
ですがトレンドが発展しているときは価格が移動平均から離れており、価格と移動平均線の間に距離があることがわかります。
これが発生する理由は移動平均線が以前の価格に基づいて価格がどこにあるべきかを表すためですが、トレンドがあり価格が特定の方向に向かっているためあるべき価格から離れます。
次に移動平均線をプロットするときに期間がどのように機能するかについて説明します。
期間が短い移動平均線をプロットしてみましょう。
期間が短い移動平均線は5-20期間です。
それでは期間10の移動平均線を表示します。
この移動平均線は価格に非常に近くこの短い移動平均線を使用することで価格をスムーズにするのに役立ちます。
価格がどこに向かっているかを確認するのに役立ちます。
短期間の移動平均線は価格に近くなります。
20から100期間の中期移動平均線は価格から遠く離れます。
50期間の移動平均線を違う色でプロットします。
ピリオドが多いのでより多くのローソク足が考慮されているのがわかります。
ピリオドとはローソク足の数で、50期間の移動平均線を選択するとより多くのデータが必要になります。
これが20期間の移動平均線ほど価格に近くない理由です。
50期間以上からはトレンドを決定するのに適しています。
長期移動平均線に行くと100から200となり、最も人気があるものは200期間移動平均線です。
これは純粋にトレンドを理解するためのものであるため、価格と移動平均線の間の距離がわかります。
トレンドがない場所では移動平均線が一緒になります。
トレンドが発生するにつれてこれらの移動平均線は大きく離れます。
移動平均線のタイプ
次に様々なタイプの移動平均線について説明します。
使用する最適なタイプはありません。
実行する内容に応じて使用するタイプを選択できます。
最初のタイプは単純移動平均線(SMA)です。
SMA(青)は価格の単なる平均です。
50期間の単純移動平均線をプロットしてみましょう。
ここでは全ての価格を等しく考慮に入れます。
次に最も人気がある移動平均線は指数移動平均線(EMA)です。
EMA(黄)は最新の価格がより重視されるという式を使用します。
これは50期間のEMAで、SMAとはわずかに異なることがわかります。
EMAは価格が変化しているときにより早く反応するためです。
価格が変化している時に反応が少し早くなる理由は以前の価格よりも最新の価格が考慮されるためプロット時に最後のローソク足がより考慮されるためです。
次の移動平均線は加重移動平均線(WMA)です。
WMA(紫)の概念はEMAと同じですが、加重に異なる式を使用しているだけです。
WMAは他の2つよりも価格にさらに近く、さらに早く反応します。
最後に三角移動平均線(TMA)について説明します。
TMA(緑)は二重に平滑化された移動平均線です。
これは平均の平均であることを意味します。
この指標は価格から遠く離れているため平滑化されます。
TMAは滑らかになっているので価格から離れています。
これらは全てタイプのちがう移動平均線です。
実行する内容に応じて必要な移動平均線を選択する必要があります。
価格の変化に非常に早く反応する移動平均線が必要な場合はWMAまたはEMAを使用する必要があります。
それほど早く反応しない移動平均線が必要な場合は、SMAを使用する必要があります。
また反応が非常に遅く価格を大幅に平滑化する移動平均線が必要な場合はTMAを使用する必要があります。
MAクロスオーバーについて
次にトレード時に移動平均線を使用する最も一般的な方法について説明します。
最初のトレード方法はMAクロスオーバーでトレードすることです。
これは移動平均線を使用する最も一般的な方法ですがMAクロスオーバーはネットで読むほど簡単にトレードできないため正しい知識が必要になります。
このチャートには上昇傾向があります。
したがってMAクロスオーバーでトレードする場合、2つの移動平均線がプロットされます。
遅い移動平均線と速い移動平均線です。
今回の場合遅い移動平均線は100期間、青い線です。
速い移動平均線は50期間、黄色い線です。
MAクロスオーバーでトレードをする時に行っていることは、速い移動平均線が遅い移動平均線を下から上に抜いた時、ロングのシグナルとすることです。
そして速い移動平均線が遅い移動平均線を上から下に抜けたときにショートのシグナルとすることです。
ポイントは速い移動平均線は価格に近く、最新の価格を表しているのに対し、遅い移動平均線は過去に遡る価格を表していることです。
したがって速い価格が遅い価格よりも高くなる場合、これはロングのシグナルであり、反対はショートのシグナルです。
これがクロスオーバーが表すものです。
したがってMAクロスオーバーのロジックは単純ですが、前にも述べたようにトレードするのは簡単ではありません。
問題はMAクロスオーバーの全てのシグナルを取得すると、最初に非常に悪い場所で入るということです。
例えばこのロングのシグナルはここでは購入しません。
なぜなら価格がこの場所にあるからです。
ですからここでロングを入れた場合かなり悪いレベルで購入し、トレンドがない時にも負けてしまいます。
間違いなくこれらの全てのシグナルを受け取っていたら資金が失われます。
このためトレードは見た目ほど簡単ではありません。
MAクロスオーバーで最初の最も重要なヒントは、トレンドが始まった時にMAクロスオーバーでトレードする必要があるか、少なくともトレンドが始まる兆候があるということです。
この確認を見つけるには価格を調べる必要があります。
価格が下降トレンドの場合は安値から安値、上昇トレンドの場合は高値から高値になっているかを確認する必要があります。
これを例に取ってみましょう。
ここでは高値は切り上がり、安値も切り上がっています。
この場合はMAクロスオーバーのトレードが開始できます。
仮にクロスオーバーが正確に交差しているかどうかは関係ありません。
重要なのはより良い場所でエントリーすることです。
次のヒントはクロスが正確に入るならば悪いところでエントリーするでしょう。
したがってエントリーする前に移動平均線へのリトレースメントを待つ必要があります。
クロスが入ったところでトレードをするとします。
このスポットでは価格が高いところにあるとみるでしょう。
したがってここでトレードするのではなく、価格が移動平均線に戻るのを待ってからロングをすることをお勧めします。
次のヒントはMAクロスオーバーでトレードする時、通常クロスでエントリーし反対のクロスでエグジットすることですが、これは同じように非常に悪い価格となります。
移動平均線は少し遅れます。
移動平均線を使用してより良いエグジトを取得するために何をするべきか説明します。
例えばここのクロスでショートで入り、反対側のクロスでエグジットします。
価格で見るとほんの僅かな部分しか取れていないことがわかります。
このクロスでより大きな部分を獲得するためにリトレースメントでエントリーすることは前回お話ししましたがエグジットに関しても同様のことが言えます。
そのほかにもより良いエグジットの方法を紹介します。
MAクロスオーバーよりも優れたエグジットの1つはトレンドラインを作成することです。
トレンドラインがブレイクされている場所でエグジットします。
MAクロスオーバーよりもはるかに優れたところでエグジットできます。
もう一つの方法はトレンドを1回ではなく複数回トレードします。
たてば30期間のEMAのような非常に価格に近い移動平均線を使用し、価格が移動平均線を超えるたびにエントリーします。
リトレースメントでこの辺りでエントリーとエグジットを繰り返します。
また別のトレンドラインを描画することでここからエグジットすることが出来ます。
これもはるかに優れたポイントでエグジットできます。
もう一つのエグジットはボリンジャーバンドを使用することです。
100期間のボリンジャーバンドをプロットします。
価格がバンドに触れるとエグジットします。
最後のエグジットはチャネルを描くことです。
チャネルに触れた時にエグジットします。
今回の場合はそれほど大きくはありませんがが有効なエグジット戦略の1つです。
もう一つのヒントはトレンドがあるかどうかを理解するのが難しい場合があります。
2つの移動平均線を使用するだけでこれを理解しようとせず、より多くの移動平均線を使用します。
一部のトレーダーは3つの移動平均線を使用します。
リボン移動平均線と呼ばれる手法です。
これらの線は全て異なる期間の移動平均線です。
最速のものは30期間の移動平均線であり、45、60、75、最大は200期間となります。
クロスオーバーは任意の移動平均線で実行することができます。
ポイントはこの移動平均線が機能する理由は、平均線がスクランブルされていることです。
価格がトレンドになっていないときはそれぞれの移動平均線は収束します。
トレンドが発生すればそれぞれの移動平均線の間隔は大きくなることがわかります。
したがってトレードするしないに関わらずトレンドを理解するのにリボンは非常に有効なインジケーターと言えます。
次に移動平均線は動的なサポート、レジスタンスラインとして優れています。
したがってクロスオーバーの必要はりません。
1つの移動平均線をプロットし移動平均線と価格の関係を確認しトレードすることが出来ます。
このチャートでは150期間のEMAがあり、これがトレードに使用する唯一のツールです。
価格が移動平均線を上回っている場合、強気のトレンドがあります。
移動平均線を下回っている場合は、下降トレンドとしてトレードします。
移動平均線が動的にサポートとして機能しているので移動平均線に触れる安値から高値でトレードすることが出来ます。
次の移動平均線で使用できる方法は、リバース戦略でエグジットとして使用するか、トレンド中のエグジットとして使用することです。
オシレーターを使用して市場にエントリーします。
トレンドではなく、市場が買われ過ぎ、売られ過ぎの時にエントリーし、移動平均線に価格が近づいて来たらエグジットします。
これがリバース戦略と呼ばれる理由です。
ただしこの戦略は市場が変動している場合にのみ使用できるので注意する必要があります。
なぜなら市場がトレンドになっている時はトレンドに逆らうべきではありません。
次に移動平均線を使用する方法はトレンドの強さを判断するために使います。
MAクロスオーバーを使用してどのように行うか解説します。
200期間と100期間の移動平均線をプロットしています。
またMACDもプロットしています。
これら2つの移動平均線の距離がヒストグラムとして表示されます。
MACDを使用するポイントの1つとして2つの移動平均線の距離が大きほどトレンドが強くなるということです。
距離が縮まればトレンドが弱くなっていることがわかります。
今回は移動平均線の使い方について解説しました。
移動平均線がいかに用途の広いツールであり、それを使用して様々なことができることが理解できたと思います。
テクニカル分析を行わない一部のトレーダーは移動平均線のみを使用してトレードすることは不思議ではありません。