8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、失業率が4.8%に低下し、米10年債利回りが1.61%台まで上昇、WTI原油先物相場が一時1バレル=80ドル台まで上昇したことで112.25円まで上昇した。ユーロ円も129.91円まで上昇した。ユーロドルは、9月米非農業部門雇用者数が前月比19.4万人増だったことで、1.1586ドルまで上昇後、米10年債利回りの上昇で伸び悩む展開となった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りとWTI原油先物価格が上昇基調にあることで、底堅い展開が予想される。
WTI原油先物価格は、4日のOPECプラスで増産が見送られたことで、8日には一時80ドル台まで上昇した。コロナ禍による景気後退から回復基調にある世界経済が原油価格高騰に襲われた場合、スタグフレーション(景気減速+インフレ高進)に陥る可能性が高まることで、警戒感が高まりつつある。先週は、グランホルム米エネルギー長官が「米国産原油の輸出禁止措置が価格抑制のための潜在的な手段、戦略石油備蓄(SPR)の利用も検討している」と述べており、今週も関連ヘッドラインに要注目となる。
米国9月の非農業部門雇用者数は前月比19.4万人の増加に留まったものの、失業率が4.8%に低下していたことで、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始が決定される可能性は払拭されていない。また、WTI原油先物価格が80ドル台まで上昇するなど、インフレ高進が一時的ではない可能性が高まっていることも、11月のFOMCでのテーパリング開始の可能性を高めている。
ドル円の上値を抑える要因としては、中国恒大集団のクロスデフォルトの可能性があることや、先週4日に、中国不動産業界大手の花様年控股集団が社債2億570万ドルを償還できなかったこと、今週15日も、中国不動産業界大手のドル建て債の償還が危ぶまれていることなどが挙げられる。さらに、経営危機に陥っている中国恒大集団を含む中国不動産大手の多くが、巨額の簿外債務を抱えている可能性が指摘されていることにも要警戒となる。すなわち、中国恒大集団の6月時点の債務は、3本のレッドライン「三道紅線」規制の自己資本対負債比率=100%に従って約3050億ドルと報じられているが、簿外債務を含めた場合では少なくとも177%に上昇する、と米系金融機関が試算している。また、米国中長期債利回りの上昇やドル高を受けて、新興国のドル建て債務危機への警戒感も、ドル円の上値を抑える要因となる。
ドル円のテクニカル分析では、トレンド系の一目均衡表などでは三役好転の買いの時代に入っているものの、オシレーター系の相対力指数(RSI)(14日間)では、逆行現象(ダイバージェンス)が出現していることで要警戒となる。すなわち、9月29日の高値112.05円のRSIは70.90だったが、10月8日の高値112.25円のRSIは67.55で、価格の高値更新にも関わらず、RSIは高値を更新出来ていないことで、上昇エネルギーの枯渇が警告されている。
