海外市場でドル円は、南アフリカで感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異型が確認されたのをきっかけに経済の先行き不透明感が広がり、世界的に株価が急落。リスクオフの円買い・ドル売りが優勢となった。米10年債利回りが一時1.4697%前後と10日以来の低水準を付けたことも相場の重しとなり、一時113.05円まで下げ足を速めた。ユーロドルは1.1331ドルまで上昇した。


 本日の東京時間のドル円は神経質な動きとなるだろうが、上値は限られるか。11月10日以来の水準までドル円は下落したこともあり、本邦実需勢などを含め値ごろ感から相応のドル買い意欲が出てくる可能性が高い。すでに早朝のオセアニア市場でも買いが優勢となっている。市場参加者の中では、先月の中国恒大集団のデフォルト懸念から、市場がリスクオフの円買いに動いた時もトレンドが短かったことで、日米金利差からドル円は下がったら買うという姿勢を崩していない投資家も多い。また、先週末から米小売りで始まったブラックフライデーのセールはかつてのような賑わいをみせていないが、オンラインのサイバーマンデーで多くの消費が期待されている。目先の米経済指標が急速に落ち込むことも考えにくいことは、ドル円の買い支え要因となりそうだ。


 しかしながら、南アで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株(=オミクロン株)の影響で、原油価格が急落していることもありインフレ懸念が後退、米金利も急低下し、利上げ観測も後ずれする可能性が高まっていることはドルの重しとなりそうだ。現状のオミクロン株については、スパイクタンパク質に30を超える変異があり、人から人へと簡単に感染する可能性が高く、いくつかはよく知られていない変異が確認されている。先週末、南アのゴーダン南アフリカ公共事業相は「新たな変異株について10日間でさらに明確化すると予想」と述べているが、ウイルスの威力やワクチンの効果などについての続報次第で為替市場はリスクオン・オフのどちらにも大きくい傾きやすいことに注意をしておきたい。


 ドル円以外では、新興国通貨の動きには要警戒。南アは上述のオミクロン株の影響で、英国をはじめ複数の国で渡航禁止になるなど、今後の経済的な影響が大きい。ランド円は今年2月以来の水準、ドル/ランドは年初来安値を更新するなど大幅に下落している。ウイルス感染も拡大する中、今月初めの選挙では与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率も急低下していることで、ロックダウンに舵を切るのも難しい状況だ。仮にロックダウンを行うと、財政赤字問題やANCの支持率低下による暴動の発生なども起こりうる。また、トルコリラもエルドアン・トルコ大統領の低金利を促す発言で再び急落している。本日もランドとリラは乱高下が予想される。


 また、欧州通貨も神経質な動きを見せそうだ。英国では小売店や公共交通機関での利用にはマスク着用の義務化を再び導入、オランダでは南アからの航空便2機で61人のウイルス感染者を確認するなど、再びウイルスの感染が大きなトピックとなっている。各国の対応次第で欧州通貨も大きな動きを見せるか。