明日は米雇用統計の発表を控えているとはいえ、今週のメインイベントの米連邦公開市場委員会(FOMC)が終わったことで、本日のアジア・欧州市場は比較的に静かな相場展開を見せている。本日は日本時間21時半に米貿易収支や新規失業保険申請件数など複数の経済指標の発表はあるが、発表直前に市場の注目度が高いイングランド銀行(BOE)・金融政策委員会(MPC)の結果公表があることで、市場は米指標には反応が鈍く、MPC後のポンド相場に乱されることが予想される。


 21時半以後は米経済指標や、米国の要人などの講演予定がないことで、米債券市場の値動きを見ながらの取引となるだろう。昨日の米国入り後の値動きを見ていても、為替は債券利回りの動きに追随することになり、為替は主体性をもって動くことができない。


 昨日もFOMC前のNY午前に、米財務省が3・10・30年債の発行規模の縮小を発表したことで米債市場がまず動意づき始めた。為替関係者は債券発行規模の縮小により、「米債買い=米金利低下」を予想したようだが、債券市場参加者は全く逆の動きを事前に予想し、実際に「米債売り=金利上昇」となった。すでに約5年ぶりの発行規模縮小は、債券市場ではコンセンサスで、今後見込まれる米金融当局による債券購入縮小の影響を相殺したかたちになり、この発表がFOMC前にテーパリング開始のメッセージと伝わった。為替市場は、最初は上述のように規模縮小による金利上昇は予想と反したの動きと思い、流れについていけず、時間のずれとともにその後はドル買いに動いた。本日も為替市場よりも一歩先に行く米債の動きに連れる市場動向になりそうだ。


 米金利が上昇傾向にあり、市場がリスクオンになりかけてはいるが、不安材料としてはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の去就問題がある。FOMCがあったことや、バイデン米大統領も先週末から今週初めにかけてはG20やCOP26の外遊で多忙で、FRB議長の再任問題は手つかずだった。しかし、1日のイエレン米財務長官のインタビューで、財務長官は近々発表があると述べているように、いつ発表されてもおかしくはない。財務長官はパウエルFRB議長を「信頼できる有能な政策立案者」とした反面、「他の候補者も同様に認識されると思う」と発言している。必ずしも現FRB議長だけが適任とはしていないということだ。


 また、パウエルFRB議長自身を含めて複数のFRB理事が株式取引を行うなど、コンプライアンスとして問題がある行動を行っていたことで、ウォーレン議員をはじめ複数の民主党議員のパウエル氏の議長職は適任ではないとする声も多い。これまでは金融市場の混乱を避けるために再任が濃厚だったが、2日に結果発表があったバージニアの州知事選で民主党候補が敗北したこともあり、今後の民主党内の結束を深めるために議長交代の可能性もあるか。もし、FRB議長が後退となった場合は、一時的にドルが売られることがあることには警戒しておきたい。


・想定レンジ上限

 ドル円の上値めどは、10月20日につけた年初来高値114.70円。


・想定レンジ下限

 ドル円の下値めどは、昨日安値113.72円。