本日のNY為替市場のドル円は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大状況を見極めながら、本日予定されているパウエルFRB議長とイエレン米財務長官の米上院銀行委員会でのコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法についての証言に注目することになる。


 米製薬大手モデルナのバンセル最高経営責任者(CEO)が「オミクロン変異株へのワクチン効果は低下する可能性が高い」と述べたことで、米10年債利回りは1.42%台へ低下、ダウ先物も500ドル超下落、時間外のNY原油先物も67ドル台に下落しており、ドルは全面安の展開となっている。ドル円のテクニカル分析では、高値圏での「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」により、ネック・ラインの112.73円を明確に割り込んだ場合、ダブル・トップ(114.70円・115.52円)が完成することで要警戒となる。


 昨日、事前公表された証言テキストによると、パウエルFRB議長は、新型コロナウイルスの「オミクロン株」について、物価安定と最大限の雇用の実現という金融当局の2つの責務にリスクを突き付けるとの認識を示している。イエレン米財務長官は、オミクロン株に関連したニュースの把握に努めているとした上で、現時点では米経済の回復は力強さを維持すると確信している、との考えを示した。また、バイデン大統領の社会保障拡充策を盛り込んだ税制・支出法案の上院での可決を呼び掛け、連邦債務上限を議会が早急に引き上げる必要があると重ねて表明する予定となっている。

 本日は、11月の消費者信頼感指数やシカゴ購買部協会景気指数が発表されるが、ポジティブサプライズでも、オミクロン株への警戒感が払拭されていないことで、反応は限定的だと思われる。


 世界保健機関(WHO)は、オミクロン株について、世界的に広がる可能性が大きいとの認識を示し、一部地域で感染者が急増し「深刻な結果」をもたらす可能性があり、グローバルなリスクが「非常に高い」と警告している。一方、南アフリカ共和国の医師、アンジェリク・クッツェー氏は、オミクロン株の患者が示す症状はデルタ変異株の患者に比べ軽度だと述べ、南アフリカの科学者は、オミクロン株は他の変異株に比べ感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い、と楽観的な見解を述べている。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、オミクロン株が米国に既に流入している可能性に言及しつつ、オミクロン株について明確な情報を得るには約2週間かかると述べており、今後2週間程度はオミクロン株を巡る不透明感が市場を支配することになる。