16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米中対立懸念が強まったことや米10年債利回りが1.41%台まで低下したことで113.56円まで下落した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による新規資産購入を2022年3月末で終了することを決定したことで1.1360ドルまで上昇した。ユーロ円は129.64円まで上昇後に上値を切り下げた。


 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの1.41%台への低下によるドル売り、ニューヨーク株式市場の下落による円買いで上値が重い展開が予想される。


 ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での2022年末までに3回の利上げが示唆されたことで114.26円まで上昇したものの、CTA(商品投資顧問業者)は、来週のクリスマス週を控えて、「噂で仕掛けて事実で手仕舞え」の格言通りに、ドル買い持ちポジションの手仕舞いに動いている。


 また、米国と中国及びロシアとの対立激化懸念も地政学リスクを高めている。バイデン米政権は、中国の34の機関を輸出禁止対象の「エンティティーリスト」に追加し、米上院が「ウイグル強制労働防止法案」を可決した。さらに、バイデン米政権は欧州連合(EU)同盟各国に対して、ロシアがウクライナを攻撃した場合にロシアの銀行やエネルギー企業に対して米国とともに科す幅広い制裁について、最終決定するよう働き掛けている。


 昨日から開催されている日銀金融政策決定会合では、引き続き経済を下支えするため、短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロ%程度に抑える現状の大規模な金融緩和策を維持することを決める見通しとなっている。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の影響を勘案し、来年3月末までが期限となっている新型コロナの影響を受けた企業の資金繰り支援策の延長や見直しが必要か否か議論される見込みとなっている。


 注目ポイントは、黒田日銀総裁の114円台のドル円相場への言及、そしてインフレ高進を受けて欧米英豪加などの中央銀行が出口戦略を打ち出していることへの見解となる。


 黒田日銀総裁は、2015年6月、ドル円の名目レートが125円付近、実質実効為替レートが67.63だった時、「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」と円安を牽制して、「黒田シーリング」でドル高・円安を抑制した。


 しかし、10月28日の金融政策決定会合後の記者会見では、現在の為替相場を「若干の円安」と表現し、現在の水準は日本経済にとってプラスになっているとの認識を示した。ドル円の名目レートは114-115円付近、実質実効レートは、11月末で67.79だが「具体的なノルム(基準)があるわけではない。実質実効レートと名目レートはかなりかけ離れたものだ」と述べている。


 本日も、前回と同様に円安を牽制する発言は聞かれないと思われるものの、要注目か。ちなみに、ドル円が2015年6月の円安牽制で高値125.86円から反落基調にあった12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが開始された時の相場水準が121円前後、利上げが終了した2018年12月の相場水準が111円前後となっている。すなわち、2022年春の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始6カ月前の高値115.52円が2015年6月の高値125.86円に対応する可能性も念頭に置くべきかもしれない。