海外市場でドル円は、時間外のダウ先物や欧州株の下落を受けてリスク回避の円買いが先行すると一時113.14円と6日以来の安値を付けたものの、売り一巡後はダウ平均が一時610ドル超下落したことを受けてリスク・オフのドル買いが入ると、113.77円付近まで持ち直した。ユーロドルは取引終了間際に一時1.1235ドルと日通し安値を更新した。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「3月のFOMCでの利上げもあり得る」「利上げ後すぐにバランスシートを縮小することも可能」などと発言したこともドル買いを誘った。


 本日の東京時間は小動きとなるか。先週に日、米、英、欧州(欧州中央銀行=ECB・スイス)の各国中央銀行が政策金利を発表し、為替および金融市場は今年のイベントが一通りすべて終了した。日柄的にも、欧米を中心とした多くの市場参加者はクリスマス休暇に入ったこともあり、市場が大きく動意づくのは難しそうだ。昨年を振り返ってみても、クリスマスを迎える週初のスタートは103.11円、年末の引け値は103.25円、その間のレンジも103.90円を高値に102.96円が下値となり1円未満のレンジだった。欧米や本邦も年末にかけて大きく需給が傾くことがないことで、余程のことがない限りは動きにくいだろう。また、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にドル円は114円前半で上値を抑えられ、下値も113円前半の底堅さを見せたことを考慮すると、両サイドともにレンジを超えるのは難しいか。


 もっとも、今年は昨年以上に世界各国での地政学リスクが増していることと、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が拡大していることには注意を払いたい。地政学リスクはウクライナ情勢に注目。ロシアが緊張緩和に向けて新たに締結したいとする協定などの草案を北大西洋条約機構(NATO)と米国に示した。しかしながら、ウクライナに対する軍事圧力緩和の条件として、ウクライナのNATO非加盟の確約などを求めたことについてNATOは拒否をしている。NATOと米国ともに草案に対し、今週中に返答を行うとしているが、この行方次第で地政学リスクが高まれば(もしくは弱まれば)為替市場にも影響を与えそうだ。また、バイデン米政権が生体情報を使った監視に関与したとして中国研究施設に制裁を科し、米議会でウイグル族強制労働防止法案を可決したことを受けて、中国が報復措置を講じると反発姿勢を強めている。今後の米中間関係の動向にも目を通しておきたい。


 オミクロン株に関しては週末も欧米で感染拡大が深刻化している。オランダは感染拡大への対応として18日から来年1月14日までロックダウンを行うことを決定。英国では感染者数が拡大しただけでなく、オミクロン株での死者も増加している。米国でもニューヨーク州での感染者数が史上最多になるなど、全米各地で猛威を振るっている。これまで、経済再開によるインフレ高進を警戒していたが、オミクロン株の今後の感染状況次第では再び経済状況も急展開となる可能性もある。また、一部報道ではファイザー社とモデルナ社製以外のワクチンは、オミクロン株への効果がほとんどないと報じられている。アストラゼネカ社、ジョンソンエンドジョンソン社、中・露製のワクチンでウイルスを対処していた国でのオミクロン株感染拡大が懸念されることになりそうだ。