海外市場でドル円は、ウクライナ情勢を巡る米露会談への懸念から欧州株価が軟調に推移すると、リスク回避目的の円買い・ドル売りが先行し一時115.05円と日通し安値を更新した。ユーロドルは、一時1.1285ドルと日通し安値を更新したが、一部ユーロクロスの上昇につれた買いが入った。
本日の東京時間のドル円は、115円前半を中心としたもみ合いとなるか。昨日の本稿でも記載したように、米雇用統計後に米金利が上昇したのにもかかわらず、通常は米金利に反応が敏感なドル円の上値が抑えられたことで、雇用統計後に一度ドルが押し上げられた水準(115.93円近辺)で上値が重くなることは予想通りの動きだったと言える。しかしながら、115円手前まで下押ししたこともあり、本日は上値では引き続き売り逃げしたい市場参加者がいるものの、日米金利差を考えると下がる場面では手堅くドル買いをしたい投資家もいることでもみ合いになりそうだ。また、昨日の米株式市場ではナスダック総合が一時2%超安から、大幅に戻し小幅高で引けているように、株式市場も不安定な動きを見せている。現行の金融市場が明確な方向感を示せない一例とも言え、ドル円もトレンドなく振幅しやすいだろう。
本日のアジア時間での経済指標では、本邦の11月景気動向指数・速報値が発表されるが、市場を動意づける可能性があるのは11月豪小売売上高となるか。10月の同指標は市場予想を上回る結果となったが、11月も予想より良い結果が出た場合には豪ドルは買われやすい。昨日モリソン豪首相が、豪州での新型コロナウイルス・オミクロン株の急速な感染拡大にもかかわらず、かつてのようなゼロコロナを目指すことなく、「再封鎖(ロックダウン)ではなく、前に推し進める(push through)」と、経済活動の回復を優先することを明言している。市場は経済優先に対しての安心感もあり、豪ドルは買い要因の方が反応しやすい。昨日の東京市場は休場だったが、豪ドル円が一時市場の動きを牽引したこともあり、ドル円にも影響を与える可能性があることで注意深く見ておきたい。
ウクライナをめぐる米露当局者(シャーマン米国務副長官とリャプコフ露外務次官ら)による安全保障関連協議について、会談後シャーマン氏は「率直に話し合った」と述べたが、会談は平行線のままに終わったとしている。リャブコフ氏も会談を「ビジネスライク」かつ「プロフェッショナル」と表現したが、会談での進展はなかったと述べている。次回12日に行われる北大西洋条約機構(NATO)とロシアの会談が要注目となりそうだ。
米国入り後には米上院銀行委員会でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任指名公聴会に要注目。本日早朝に既にFRB議長は事前原稿で「米経済は速いペースで拡大しており、労働市場は力強い」「FRBは高インフレが定着することを阻止するだろう」などとの見解を伝えている。懸念されるのは昨日(日本時間では11日早朝)クラリダFRB副議長が1月末の任期を待たず14日に退任すると発表したこと。数日前にクラリダ氏が2020年の財務開示を修正し、同年2月24日に少なくとも100万から500万ドルの米株式ファンド売却の取引を行っていたことが判明している。パウエルFRB議長も同様な取引を行っていたこともあり、議長としての管理責任などについて厳しい質問を受ける可能性もあり、質疑応答には注目が集まりそうだ。
