海外市場でドル円は、米失業率の改善や平均時給の予想以上の上昇を受けて一時115.93円付近まで買われたものの、節目の116.00円やアジア時間に付けた日通し高値116.05円には届かなかった。そのあとは予想を下回る米雇用者数に着目したドル売りが優勢となり、一時115.53円と日通し安値を付けた。ユーロドルは、一時1.1365ドルと日通し高値を更新した。


 本日のアジア時間のドル円は、上値が重い展開となるか。昨年も1月第1週にドル円の年間最安値をつけたように、12月末から1月初旬は騙しの動きが多く、1年を通すトレンドが継続するとは限らない。もっとも、日米間の金利動向を見ると市場がブルに傾くのは至極当然だろう。しかし、先週昨年の高値を抜けたことで、ドル円はすぐにでも118円に到達するというような前掛かりに傾いた予想が急増したことで、現時点では上値でドルロングになった市場参加者が、115円後半や116円台で捕まっている状態だ。1月4日時点の商品先物取引委員会(CFTC)が発表する主要な先物のみのポジション状況で、円ショートポジションが増えていることからも、上値ではいったんは売りがかぶさってくると予想される。また、通常は米金利動向に一番敏感なドル円だが、米10年債利回りが雇用統計発表後に一時1.7992%前後と2020年1月以来約2年ぶりの高水準を付けたにも関わらず、ドル円を買い上げることができなかった点も上値の重さを表している。本日は東京不在ということもあり、アジア時間で大きな動きを見せるのは難しいだろうが、115円台後半はすでに重くなると予想する。


 今週はウクライナ情勢に進展がみられる可能性が高いことで、地政学リスクには要警戒となる。昨日9日から10日までジュネーブで米露の当局者(シャーマン米国務副長官とリャプコフ露外務次官ら)が安全保障関連協議を実施し、その後12日にはブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)とロシア間で会合が開かれる。また、13日には米露や欧州諸国が加盟する全欧安保協力機構(OSCE)も協議を予定している。フィンランドもNATO加盟を考えるなど、ロシアと接している国々の今後の動向が為替市場にも影響を与えることになりそうだ。今週について「ソビエト連邦の崩壊以来、NATOとロシア間の関係において最も重要で決定的な節目」(CNN)と評されているほど、今週の会談の重要性は高い。また、カザフスタン情勢で原油先物価格も揺れていることで、ロシアを絡めた地政学リスクから、多方面で目が離せない相場が続きそうだ。