9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが米10年債入札後に1.90%台まで低下したものの、すぐに低下幅を縮めたこともあり、10日の1月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて115円台半ばで動意に乏しい展開となった。ユーロドルは「多くの欧州中央銀行(ECB)メンバーがインフレ見通しに不信感を抱いている」との報道を受けて早期利上げ期待への思惑から1.1448ドルまで堅調に推移した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米国1月の消費者物価指数がウェイトの変更などで上昇が見込まれていることから底堅い展開が予想される。
世界的な長期金利の上昇を受けて、日本の新発10年債利回りも日本銀行の許容変動幅の0.25%に近づいており、日銀による金利上昇抑制策である指し値オペ出動が警戒されており、本日も債券市場の動向に要注目か。
米国の2021年11月から2022年1月までの非農業部門雇用者数の大幅増加は、年次のベンチマーク改定を受けたものであり、雇用市場の実態を反映したものではない。米国1月の消費者物価指数も、ウェイトが変更されており、ポジティブサプライズの可能性が警戒されている。
米国1月の消費者物価指数の予想は前年比+7.3%で、昨年12月の前年比+7.0%からの更なる上昇が見込まれている。最大予想は前年比+7.6%、最小予想は前年比+7.0%となっている。最大予想の背景としては、WTI原油先物価格が90ドル台まで上昇していること、米1月の平均時給が前月比+0.7%、前年比+5.7%となり、前月比+0.7%の上昇は、年率に換算した場合9%程度の上昇となること、米1月ISM製造業指数での仕入れ価格が76.1へ上昇していたことなどが挙げられる。最小予想の背景として、米1月ISM非製造業指数での価格指数の82.3への低下が挙げられる。
米1月消費者物価指数がポジティブサプライズだった場合、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ開始、毎回のFOMCでの利上げ観測、6、7月のFOMCでの量的金融引締政策(QT)の可能性が高まることになる。ドル相場への影響は、ドル・スマイル理論により、米金利上昇はドル買い要因だが、前回の利上げサイクル、バランスシート縮小サイクルでは、ドルは低下傾向を辿っている。また、米2-10年債利回り格差が縮小傾向にあり、フラット化から長短金利逆転(逆イールド)の可能性が示唆されていることは、米連邦準備理事会(FRB)の急激な金融政策正常化によるリセッション(景気後退)への警戒感が高まっていることを示唆している。2023年から2024年にかけてのネガティブ・タームプレミアムは、2024年のリセッション入りを警告している。
米1月消費者物価指数がネガティブサプライズだった場合、3月FOMCでの0.25%の漸進的利上げ、今年3-5回程度の利上げの可能性が高まることになり、ニューヨーク株式市場への悪影響も限定的となる。
ドル円の上値を抑える要因としては、米国と中国の対立激化による地政学リスクと貿易戦争の再燃、バイデン米政権の「気候変動・社会保障関連歳出法案」の成立が遅れていること、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクなどが挙げられる。
