11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「ロシアは来週にもウクライナへ侵攻する可能性がある」との報道をきっかけに米国株相場が急落し、115.02円まで下落した。ユーロドルは1.1330ドル、ユーロ円は130.39円まで下落した。ダウ平均は一時621ドル下落、米10年債利回りは2.0609%前後から1.90%台まで低下した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ロシアによるウクライナ侵攻への警戒感から軟調推移が予想される。

 11日、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、ロシアによるウクライナ侵攻はいつ開始されてもおかしくはないと指摘し、おそらく空爆で始まるとの見解を示した。そして、プーチン大統領は今月20日の北京冬季五輪閉幕前にも侵攻を命令する可能性があり、首都キエフに対する急襲も考えられるとの見方を示した。

 12日、バイデン米大統領とプーチン露大統領との電話会談が行なわれたが、双方の主張が平行線のまま終了した、と報じられている。
 すなわち、バイデン米大統領は、ウクライナ侵攻の場合には、ロシアは深刻な代償を支払うと警告し、プーチン露大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の東方不拡大の確約や緊張緩和の前提としている安全保障の約束を与えられていないと、米国を非難した。

 ロシアと中国は否定しているものの、ロシアは北京冬季五輪開催中(2月4日-20日)はウクライナに侵攻しない、という密約がある、という噂があった。しかしながら、米国が掴んだ情報では北京冬季五輪閉幕前にも侵攻の可能性がある模様で、ウクライナの地政学リスクが市場の最大テーマになりつつある。

 ロシアは、先週10日から20日にかけて、ベラルーシと合同軍事演習を行い、ロシアの軍艦が黒海で演習を開始しており、ウクライナも対抗して軍事演習を行っている。ロシアは、2008年8月の夏季北京五輪中のグルジア侵攻でも、2014年2月の冬季ソチ五輪後のクリミア侵攻でも、「偽旗作戦(false flag)」を使っており、今回もウクライナ側からの先制攻撃やロシア系住民の保護を大義名分とする侵攻開始の可能性に要警戒となる。

 しかし、日米の金融政策の乖離によるドル買い・円売り要因が、リスク回避の円買い圧力を緩和する可能性も念頭に置いておきたい。ドル円を2月10日の高値116.34円まで押し上げた要因として、米1月消費者物価指数が前年比+7.5%と約40年ぶりの水準まで上昇し、3月15-16日米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ観測が台頭したことが挙げられる。さらに、3月FOMCを待たずに、2000年3月のような臨時FOMCを開催して利上げを行う可能性も警戒された。そして、先週末、日本銀行は、本日14日に10年債を対象に、2018年7月以来となる「指し値オペ」を行い、0.25%で無制限に買い入れを行うと発表したことも、円売りに拍車をかけた。