16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ウクライナ情勢への警戒感から115.36円まで軟調推移。ユーロ円も131.11円まで軟調に推移した。ユーロドルは、FOMC議事要旨公表後に1.1396ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ウクライナ情勢を巡るヘッドラインに警戒する展開が予想される。また、1月豪雇用統計に対する豪ドルの反応にも注目したい。

 ロシア政府は、ウクライナ国境付近で軍事演習を終えた後に撤収した、と表明しているが、ブリンケン米国務長官やゼレンスキー・ウクライナ大統領は、撤収の証拠がなく確認していない、と反論。ロシアのウラジーミル・チゾフEU大使は、ウクライナ東部ドンバス地方などでロシア市民の殺害が始まれば、ロシアは対応すると警告し、ウクライナでのロシア傭兵による「偽旗作戦」への警戒感が高まっている。エストニアの対外情報機関トップ、ミック・マラン氏は、ロシアは引き続きウクライナとの国境に部隊を移動させており、ウクライナに対して「限定的な」軍事攻撃を実施する可能性が高いと述べた。

 2014年2月27日、プーチン露大統領は、ソチ冬季五輪閉会4日後、新月(3月1日)前にクリミア侵攻を開始しており、北京冬季五輪の閉会を2月20日に控えて、新月(3月3日)に向けて予断を許さない状況は続く。

 8時50分に発表される日本の1月の貿易収支では、対米貿易黒字に要注目か。2021年の日本の対米貿易黒字は5兆9419億円となり、2020年の5兆1759億円から拡大していた。米国の2021年の貿易赤字は、中国が米中第1段階通商合意での2000億ドルの輸入を60%程度しか順守しなかったこともあり、過去最大の8591.33億ドルに拡大していた。バイデン米政権は、トランプ前政権のように貿易不均衡の是正に取り組んでいない。しかし、今年11月の中間選挙では、バイデン民主党の苦戦が予想されており、対中貿易赤字是正圧力と対日貿易赤字是正の圧力が強まる可能性には警戒しておきたい。

 9時30分に発表される1月豪雇用統計の予想は失業率4.2%、新規雇用者数はゼロとなっている。ポジティブサプライズになれば、利上げ時期が早まる可能性が高まることで、豪ドル買いとなりそうだ。

 バイデン米政権の重要法案である「気候変動・社会保障関連歳出法案」は、民主党中道派のマンチン上院議員の反対により暗礁に乗り上げている。そして、バイデン米大統領が物価上昇を抑制するために指名した連邦準備理事会(FRB)首脳人事5人の承認採決も、共和党の反対により暗礁に乗り上げつつある。15日は、米上院でFRB首脳人事5人の承認採決が行われる予定だったが、共和党が委員会へ出席しなかったことで、延期されている。パウエルFRB議長は、2月5日に任期満了となっており、上院での再任承認を待つ状態だが、共和党による政治的な駆け引きの材料にされている。

 さらに、13日に「ロシアによるウクライナ侵攻は今にも始まりかねない。オリンピック閉幕前の今週中も例外ではない」と警告したサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、ロシアゲートで訴追されるのではないか、と報じられている。ダーラム特別検察官の捜査で、ロシアゲートはクリントン陣営による捏造工作だったのではないかという疑惑が指摘されている。サリバン米大統領補佐官は、当時、クリントン陣営の上級政策顧問であり、ロシアゲートによりトランプ候補を批判していた。