24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ロンドン市場の安値114.41円から115.69円まで反発した。米10年債利回りは1.84%台から1.97%台まで上昇した。ユーロドルは1.1106ドルまで下落した。ユーロ円は127.92円まで下落後、129.71円付近まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた有事のドル買いがリスク回避の円買いを上回りつつあることで、底堅い展開が予想される。

 米主要株式3指数はプラス圏で終わり、米10年債利回りも1.84%台から1.97%台まで上昇しており、ニューヨーク株式・債券市場は、ロシアとウクライナの戦争によるリスクを克服しつつある。金利スワップ市場は、インフレ高進により、欧米の金融当局が政策引き締めを強めるとの見方を変えていない。米国が年内に0.25ポイントの利上げを6回、英国が5回、ユーロ圏が1回実施することを織り込みつつある。原油価格、天然ガス価格、穀物価格が上昇していることで、更なるインフレ高進懸念が高まりつつあり、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の緊急利上げの可能性にも要警戒となる。

 ドル円は、大きなフラッグ(上辺:116.35円〜116.34円、下辺:113.49円〜113.47円)を形成中と見なすことができる。上辺か下辺を放れた場合、約3円の上昇・下降エネルギーが期待できることで、上放れの場合は119円台、下放れの場合は、ダブル・トップ完成で110円台までの下落が予想される。

 ロシアは、23日の祖国防衛の日の翌日の24日、ウクライナ侵攻を開始した。2014年2月27日のクリミア侵攻は、ソチ冬季五輪閉会式の4日後、今回のウクライナ侵攻も20日の北京冬季五輪閉会式の4日後だった。プーチン露大統領は、ウクライナ侵攻を踏み止まることによるリスクが、侵攻して経済制裁を受けるリスクよりも大きいと判断したことで、短期間でのウクライナ制圧と傀儡政権の樹立により、ロシアと欧州との緩衝国家として、ベラルーシとウクライナを位置づけたのかもしれない。
 プーチン露大統領は24日のテレビ演説で、「ソ連崩壊で多くのものを失ったが、現代のロシアは世界で最も強力な核保有国の一つであり、最新兵器でも優位性がある。我が国を攻撃すれば、壊滅し、悲惨な結果になることに疑いない」と、北大西洋条約機構(NATO)に対して警告している。プーチン露大統領が、24日の録画放送で「特殊軍事作戦」決行という宣戦布告をした時の服装が、21日にウクライナ東部の親ロシア派2地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認した時の服装と同じだったことで、ウクライナ侵攻は独立承認と同時に決定していたことになる。