先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は115.76円まで16日以来の高値を更新し、115円半ばで底堅い動きとなった。ロシアがウクライナと交渉するため「ベラルーシの首都ミンスクに代表団を送る用意がある」と表明し、リスクオンの円売り・ドル売りが優勢となり、ユーロドルも1.1274ドルまで上昇した。株価の大幅上昇も支えにユーロ円も130.29円まで上値を伸ばした。

 今週もロシアのウクライナ侵攻をめぐり、神経質な相場展開が続きそうだ。週明け早朝もウクライナの地政学リスクへの警戒感でリスクオフの円買い・ドル買いが先行している。ロシアのプーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳らの声明や西側諸国の対露経済制裁強化を受けて、核戦力を含む核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた。これに対し米国は、緊張を高める受け入れられない行為だと非難した。ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ロシア側交渉団との協議をベラルーシ国境で前提条件なしで行うと明らかにした。

 また、米・英・カナダ・欧州は27日、国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの一部銀行を締め出す方針を固めた。日本もSWIFTからのロシア排除の取り組みに参加すると岸田首相が表明している。ウクライナ情勢をめぐる警戒感が続いており、急速にリスクオンの動きに転じる可能性は低い。ただ、ウクライナ情勢をめぐる地政学リスクへの警戒感が一段と強まったとしても、ドル円の下値は限られると見ている。リスクオフ局面ではドル円は円買いとドル買いの綱引きとなるが、市場の警戒感が大きく高まれば円買いより「有事のドル買い」に傾きやすい。また、ドル円の押し目には日米金利格差を意識した買いも入りやすい。ドル円は神経質な動きを続けながらも115円を挟んで方向感は限定的になるか。