本日のNY時間のドル円は、ウクライナに関する報道のヘッドラインで上下するか。近代戦争における最先端の武器がメディアの使い方(情報戦)になっていることで、ロシア筋と米国・北大西洋条約機構(NATO)から流れてくる情報が入り乱れ、正確な報道をつかみにくくなっている。


 本日も「ウクライナ軍がウクライナ東部で迫撃砲と手榴弾を撃ち込んだ」とのロシア・メディアによる報道で円買いに、その後ウクライナがこの報道を否定したことで円売りになった。同様に「ここ数日でロシアは7000人の兵力を増強」との報道をロシアが否定するなど、真偽をつかみにくい状況が続いている。現時点ではどの報道でも市場は過敏に反応しているが、徐々に反応も鈍くなる可能性もある。しかしながら、イソップ寓話の「狼と少年」のように、本当に侵攻(もしくは逆に撤退)した場合に、市場が無視をしていたものが、事実であることを時間差で確認し、後追いするリスクもあることには警戒しておきたい。


 なお、本日のウクライナ情勢で最も重要となりそうなのはラブロフ露外相が、安全保障をめぐり米国に本日回答を送ることになっていること。この回答次第ではウクライナ情勢の緊迫度に変化が起きる可能性もある。


 本日は、米国から複数の経済指標(前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数、1月米住宅着工件数、2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数ほか)が発表されるが、市場は金利相場をいったん離れていることで、市場が動意づくのは難しそうだ。また、ブラード米セントルイス連銀総裁が講演を行うが、この2週間で幾度も同総裁の発言が取り上げられていることで、余程新味がない限りは市場の反応は限られそうだ。