NYタイムも、ロシアのウクライナ侵攻を嫌気したリスク回避が意識されるだろう。北大西洋条約機構(NATO)加盟国など欧米側とロシア側の双方にとってオープンな情報が流れにくい状態にある。報道のヘッドラインに揺さぶられる荒っぽい展開になりやすい。地政学問題に対してぜい弱な株式市場などが大きく売り込まれるだけでなく、反動の動きが急速に進む場面も想定できる。ロシアの軍事行動だけでなく、サイバー攻撃による混乱への恐れもあり、欧米の金融機関が市場の上下の振れに対してカウンターとなる売買を積極的にぶつけにくいと考えている可能性もある。いずれにしろ、株価やドル円は下方リスクが強そうで、急速に戻しても直近の下落幅を取り戻す範囲にとどまりそうだ。


 NY序盤には10-12月期米国内総生産(GDP)の発表もあるが改定値であり、ポストコロナの米景気回復をみるための重要な指標とはいえ過去の数字。地政学リスクによる先行きの不透明さが焦点となるなかでは、弱い結果が追加的な悪材料になることはあっても、好結果が状況を一気に改善するような材料になりにくい。週初の米休日もあって発表が通常より1日遅れの米エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計も原油相場が高騰するなかで注目の材料といえるが、原油などコモディティ相場にとって押し上げ要因になる内容となっても、物価高を懸念した株式への悪影響などから、為替市場はリスク回避の反応を示すことになるだろう。