23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下を受けて120.60円まで下落したものの、日米金融政策の乖離から下値は限定的だった。ユーロドルは、プーチン露大統領が米国や欧州など「非友好国」に対し天然ガスの支払いをルーブルにするよう求める考えを表明したことで1.0964ドルまで下落した。ユーロ円は132.33円まで下落後、133.39円付近まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策の乖離を受けたドル買い・円売りや121.50円のノックアウト・オプションへの買い仕掛けと年度末に向けた本邦機関投資家のレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)の攻防が予想される。

 ドル円の121.50円には本邦実需筋からのドル売りオーダー、長期為替仕組債に絡んだノックアウト・オプションなどが控えているもようで、買い仕掛けと防戦売りの攻防が続いている。長期為替仕組債とノックアウト・オプションの組み合わせは、単純化すれば、輸入企業が5年程度にわたり115.00円でドルを買う権利を購入し、期間中121.50円に到達すれば、買う権利が消滅するというものである。オプションの売り方は、121.50円まで買い仕掛けが成功すれば、115.00円でドルを売らなくても済むので、執拗に121.50円まで買い仕掛け、買い方は、121.40-49円で防戦売りをすることになる。本日も、年度末・四半期末に向けた取引に注目していくことになる。

 本日、ベルギーの首都ブリュッセルで主要7カ国(G7)の首脳会議、欧州連合(EU)の緊急首脳会議、北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議が開催され、ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁や米欧が懸念するロシアへの中国の協力を巡る協議が行われる。
 3月18日に米中首脳電話会談が行われ、バイデン米大統領は習・中国国家主席に対して、軍事的・経済的な支援を行わないように要請したが、習中国国家主席は明言を避けている。さらに、声明では「虎に鈴を付けた者が外さなければならない」という中国の諺を引用し、ウクライナを侵攻した虎であるプーチン露大統領に、鈴をつけた者であるNATOが責任を取るべき、との立場を表明している。本日のブリュッセルでの会合では、NATOの東方拡大という「鈴」が、プーチン露大統領という虎のウクライナ侵攻の原因となったのであれば、「鈴」を外す、すなわち、東方拡大を停止し、プーチン露大統領が要請するように、1997年時点に戻す可能性も検討されることになる。そして、おそらく、プーチン露大統領の要求に応じることは無理であり、バイデン米大統領が「戦争犯罪人」と批判しているプーチン露大統領への最後通牒が行われるのではないだろうか。そうなれば、プーチン露大統領が戦術核を使用する可能性が高まることで、市場はシナリオの再構築を迫られることになる。ロシアの軍事態勢の手引には、「エスカレートさせて脱エスカレートする(Escalate to Deescalate)」という戦略がある。ロシア軍と米軍が通常兵器での交戦状態に陥った場合、ロシア軍が低出力核兵器を使用(エスカレート=escalate)し、米軍は、核兵器で応じることは核戦争になることで反撃を止めて戦争を終わらせる(脱エスカレートする=deescalate)という戦略である。