9日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは、露・ウクライナ停戦合意への期待が高まったことで1.1095ドルまで急上昇した。ユーロ円も128.47円まで大幅に値を上げた。ドル円は115.94円まで上昇後、115.56円まで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、露・ウクライナ停戦期待や原油価格の反落を受けて上値が重いか。ただ、東京市場が終了した後に重要なイベントや経済指標の発表を控えていることで、動きづらい展開が予想される。

 本日はトルコで同国外相も交え、ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相の会談が開催され、戦闘終結に向けた協議に要注目となる。

 9日のニューヨーク原油先物相場は4営業日ぶりに大幅に反落した。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)4月限は、一時103ドル台まで急落し、終値は前日比15.00ドル安の1バレル=108.70ドルとなった。今週初、ブリンケン米国務長官がロシア産石油禁輸を示唆した後、130.50ドルまで上昇していたが、そこから20ドル超下落したことになる。原油下落の背景には、ウクライナとロシアの停戦への期待感やアラブ首長国連邦が、「OPECプラス」のメンバー国に対し、原油増産ペースの加速を呼び掛ける考えを表明したことが挙げられる。
 原油価格の上昇基調は、ドル円の上昇要因だったことで、本日は上値が重い展開が予想される。

 今夜発表される米2月消費者物価指数(CPI)は、前年比+7.9%と予想されており、1月の前年比+7.5%を上回ることが見込まれている。もし予想通りに上昇していた場合、1982年1月の前年比+8.3%に迫ることになる。3月CPIは、原油価格、穀物価格、貴金属価格の上昇を受けて更に上昇することが予想されており、15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が0.50%となる可能性が高まることになる。

 現状のメインシナリオは、ウクライナ危機を受けたリスク回避ムードの強まりから、パウエルFRB議長が議会で証言したように、0.25%の利上げが予想されている。

 本日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、パンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)が終了し、拡大資産購入プログラム(APP)が7-9月期まで継続し、12月頃の利上げ示唆が見込まれている。しかしながら、10-11日の欧州首脳会談の後に、エネルギー・防衛歳出の原資確保に向け大規模なユーロ圏共同債の発行計画が公表される模様で、大規模な財政出動に対する金融政策面からの補完の可能性に要警戒となる。