10日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)声明文からの利下げを示唆する文言の削除を受けて1.1121ドルまで上昇後、ラガルドECB総裁が「成長見通しへのリスクが著しく増大した」と述べたことで、1.0976ドルまで反落した。ユーロ円も128.87円まで上昇後、127.42円まで反落した。ドル円は2月米消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高水準を記録し、米10年債利回りが2.01%台まで上昇したことで116.19円付近まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇によるドル買いとWTI原油先物価格の下落によるドル売りが交錯する中、ウクライナ関連のヘッドラインに警戒していく展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、1月4日の高値116.35円と基本数値26に近い27日後の2月10日の高値116.34円に続いて116.20円まで上昇しており、27日後の来週末までに上抜けて「トリプル・トップ」を打ち消すのか否かが要注目となる。
昨日は、トルコでロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ・ウクライナ外相の会談が開催されたものの、戦闘終結に向けた合意には至らなかった。3月7日、米政策研究機関「戦争研究所」は、ロシア軍が「96時間以内にキエフへの総攻撃を開始する」可能性を指摘しており、本日がその期限となることでキエフの夜明けに向けて要警戒となる。
ドル円の買い材料としては、米国のインフレ率上昇を受けた米10年債利回りの上昇が挙げられる。
米国の2月の消費者物価指数は、前年比+7.9%となり、1982年1月の前年比+8.3%以来の高水準を記録した。3月も原油価格や穀物価格が上昇していることで、さらなる上昇が警戒されている。来週15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、パウエルFRB議長が示唆した0.25%の利上げは織り込みであり、0.50%利上げの可能性も高まりつつある。インフレ率が7.9%で、FF金利が0.50%でも、実質短期金利はマイナス7.4%であり、米連邦準備理事会(FRB)のインフレ対応の大幅な遅れが目立つ状況には変わりない。原油価格が上昇基調を続けた場合、インフレ率が10%台に乗せることになるが、前回、米国のインフレ率が10%台だった時、FF金利は15%だった。
ドル円の上値を抑える材料としては、WTI原油先物価格の続落が挙げられる。
10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)4月限の終値は前日比2.68ドル安の1バレル=106.02ドルとなっており、原油購入のためのドル買い圧力を緩和しつつある。