28日のューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場で125.09円まで上昇後、123.15円前後まで上げ幅を縮小も引けにかけて再び123円後半まで強含んだ。ユーロ円も欧州市場で137.53円まで上昇後に135.19円付近まで上値を切り下げる場面があった。ユーロドルは1.09ドル半ばから1.0999ドルまで堅調に推移した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本銀行が本日29日から年度末の31日まで10年国債を0.25%で無制限に買い入れる「連続指し値オペ制度」を発動したことで底堅い展開が予想される。
日銀が年度末に向けて円安誘導を行う背景としては、本邦金融機関や機関投資家などが欧米の長期金利上昇を受けて外債投資で含み損を抱えていること、ロシア向け債権での損失も膨らんでいることで、円安による相殺を目論んでいるのではないだろうか。
一方でドル円の上値を抑える要因としては、年度末に向けた本邦機関投資家のレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)、米長期金利の上昇一服などが挙げられる。
なお本日9時30分に発表される2月豪小売売上高の予想は前月比+1.0%で、1月の前月比+1.8%からの鈍化が見込まれている。現状の資源価格の上昇を受けた豪ドル高基調の中で、予想を上回った場合は、買いに拍車がかかる可能性に要警戒か。
さて本日13時20分頃から、来年4月で任期満了を迎える黒田日銀総裁の後任候補の一人である雨宮日銀副総裁の講演が予定されており、現状の円安に対する見解が注目となる。雨宮日銀副総裁は、黒田日銀総裁がアベノミクスの旗印の下で主導してきた「量的質的金融緩和策」には批判的であり、これまでの発言ではリフレ路線は理論的に破綻しているとの見解を示してきた。
岸田政権は、7月23日に任期満了を迎える2名のリフレ派の日銀審議委員の後任に、リフレ派ではない2名を起用する人事案を提出し、「アベノミクス」路線からの脱却を目論んでいるように思える。
日銀のインフレ目標2%は、賃金上昇を伴う安定的かつ持続的な物価上昇が目論まれており、現状の原油価格などの商品価格の上昇による物価上昇は本筋ではないとして、現状の金融緩和政策の粘り強い継続が打ち出されている。来月4月からの消費者物価指数は、通信料金引き下げの影響が剥落することで2%台に乗せることが予想されているが、賃金上昇を伴うものでないことで、当分は現状の金融緩和策が続いていく公算が高い。
今年1月に「日銀が消費者物価指数の上昇率が2%に到達する前にマイナス金利の解除に踏み切る可能性がある」の観測記事が配信され、黒田日銀総裁は直ぐに否定した。雨宮日銀副総裁の講演では、現状の円安に対する見解やマイナス金利の解除の条件への言及に要注目となる。
ドル円の125円台には、「黒田シーリング」と目される2015年6月の高値125.86円がある。当時は黒田日銀総裁が「実質実効為替レート(※67.63)ではかなりの円安であり、一段安はありそうにない」と円安を牽制し、「黒田シーリング」によりドル安・円高に反転させた。
国際決済銀行(BIS)が発表した円の2月の「実質実効為替レート」は、66.54となり、1972年6月以来の低水準だった1月の67.38からさらに低下していた。実質実効為替レートは、日本の貿易量や物価水準が反映して総合的な実力を示しており、輸出企業は海外に生産拠点を移していることで円安の恩恵は限定的となり、購買力の低下は家計の負担を高めることになる。岸田政権による夏の参議院選挙を見据えた輸入物価抑制のための「悪い円安」を牽制する措置や発言には引き続き要警戒となる。

