昨日のニューヨーク外国為替市場でユーロは、対ドルで一時1.1034ドル、対円では127.59円まで売られた。ウクライナ情勢への警戒感が依然として重しとなった。ユーロ円につれ安となり、ドル円は115円後半から半ばへ水準を落とした。

 本日の東京為替市場でも、ウクライナ戦争の金融市場への影響を見極めながらの取引は変わらず。昨日は主要な欧州株が大幅安、米株主要指数も引きずられて軟調なまま引けた。アジア市場はどうしてもNY市場の流れを継続しがちなため、リスクセンチメンの悪化を背景とした値動きは避けられそうにないだろう。

 ただ、もしリスク回避の円買いが強まるような場面があっても、ドル円の下サイドは限定的か。というのもやはり、エネルギー価格が高止まりしており、資源を輸入に頼らざるを得ない日本から実需の円売り拡大が今後想定されるからだ。昨日は反落したとはいえ、NY原油先物は100ドルを超えた水準で推移。石炭価格も先物市場ではロシアのウクライナ侵攻前から2倍以上まで跳ね上がった。その他、希少資源の需給逼迫も問題視されている。

 2回目の停戦交渉を終えたウクライナとロシアは、3回目の開催を約束したもよう。ただ、ウクライナ国内の戦闘は泥沼化の様相もみせている。欧米諸国はロシアへの経済制裁を強めているが、戦闘抑止への短期的な効果は不透明だ。ロシア発の金融市場混乱への懸念も高まったままであり、依然としてユーロは対主要通貨での重さが意識されることになるだろう。

 東欧混乱により、エネルギー供給国として豪州の地位が上がっている。そのため豪ドルは堅調な地合いが継続中。本日はアジア株安が予想されるため、リスクに敏感でもある豪ドルも売られる場面もあるだろう。ただ、実需という面からみると、豪ドルへ買いは続きそうであり、下値の堅さを確認することになるかもしれない。

 なお、本日夜は2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化40.0万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.5%/前年比5.8%)が発表予定。失業率が2020年2月以来の4%割れ、平均時給が前年比で同年5月以来の水準まで上昇することが見込まれている。