7日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは、欧州市場でユーロ圏経済の物価上昇と景気悪化が同時進行するスタグフレーションへの懸念が強まり1.0806ドルまで下落した後、1.0932ドル付近まで反発した。もっとも買い戻しが一巡すると、再び1.08ドル半ばまで押された。ユーロ円は欧州市場の安値124.40円から125.95円まで反発。その後に上値を切り下げた。ドル円は米10年債利回りが1.80%台まで上昇したことで115.47円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日開催されたロシアとウクライナの第3回停戦協議において戦闘終結に向けた進展が無かったことで、引き続き関連ヘッドラインに注視していく神経質な展開が予想される。

 ドル円は、有事のドル買いや原油価格上昇によるドル買いが優勢となりつつあるが、世界的な株価下落によるリスク回避の円買いや安全資産である米国債買いを受けた米中長期債利回りの低下が上値を抑える展開が予想される。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロシアはウクライナが憲法を改正して中立を宣言し、クリミア併合とドンバス地方の独立を認めることを要求していることを明らかにした。その上で、ウクライナ政府がこれらの条件を満たし、戦闘をやめれば、ロシアは軍事作戦を即時停止すると述べた。一方、ウクライナは憲法で北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すと明記しており、ロシアの要求を拒んでいることで、3回の停戦協議では有意な進展が見られないままとなっている。

 トルコのチャブシオール外相は、ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相が、10日にトルコのアンタルヤで会談することに同意したと述べており、「この会談が転機になることを期待している」と語った。この外相会談が実現すれば、2月24日の侵攻以来で最も高位の政府幹部による会談となることで、要注目となる。

 昨日は、ブリンケン米国務長官が「米国と欧州同盟国がロシアからの石油輸入禁止を検討している」と述べたことで、時間外のNY原油先物は一時130.50ドルまで急騰した。しかし、その後、「ロシア産の石油輸入禁止は同盟国とではなく米国単独で行うことが検討されている」との報道やドイツ政府がロシア産原油禁輸に否定的な見方を示したことで、4月限は1バレル=119.40ドルで引けた。

 世界最大の産油国である米国は、世界第3位の産油国であるロシアから、昨年は日量40.5万バレルを輸入していたが、米国のみの単独禁輸措置ならば、効果はほとんどない、と思われる。一方で欧州は、ロシア産天然ガスに40%依存し、ドイツは50%依存していることで、ロシア産天然ガスの禁輸措置に踏み切った場合、エネルギー危機により、欧州経済はスタグフレーションに陥る可能性が高まることになる。

 なおロシア国債をクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)によって保証するコストは過去最高に上昇しており、デフォルト(債務不履行)の懸念は高まりつつある。しかし、ロシアの外貨準備高(軍資金)は2月末時点で約6300億ドルあることで、1998年8月のようにデフォルトに陥る可能性は低いと言える。