本日のニューヨーク為替市場では、経済指標を確認し、英米金融当局者の発言を見極めながらも、ウクライナ戦争の行方を注視しながらの取引は変わらず。経済指標は序盤に2月独消費者物価指数(CPI)速報値やカナダ国内総生産(GDP)、また2月米ISM製造業景気指数(予想:58.0)も注目される。NY午後には英MPC委員、米地区連銀総裁の講演が予定されている。

 独CPIは前回4.9%から5.1%まで伸び率が上昇する見込み。ただ前回の速報値では予想から0.5%ほど上振れしていた。エネルギー価格が全く下がる気配を見せないなか、今回も更なるインフレ加速が警戒される。ウクライナ情勢が欧州金融・経済に与える影響が不透明なため、欧州中央銀行(ECB)が直ぐにタカ派色を強めるとは思えない。そうなると、インフレ高進が独経済成長のブレーキに繋がりかねず、ユーロは買いづらいままか。

 カナダGDPは12月分と10−12月期が発表される。四半期は前期比年率で予想6.5%とカナダ経済の好調さを確認し、明日のカナダ中銀会合の0.25%利上げ予想を後押しすることになりそうだ。カナダドル(CAD)については堅調過ぎる原油相場も注目される。

 日本時間24時に発表される2月米ISM製造業景気指数(予想:58.0)は前回からやや改善見込み。ただ3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ幅は、一時高まった0.50%ではなく0.25%というのが大方の見方。予想からよほど上下にブレない限りは金利市場への影響も限定だろう。

 NY午後には、サンダース英中MPC委員、マン同委員、ボスティック米アトランタ連銀総裁の講演が予定されている。またバイデン米大統領が一般教書演説を行う。

 ウクライナとロシアの停戦協議は近日中に再開されるようだが、両者の要求の隔たりが簡単に埋まるとは到底思えない。ロシア側としては戦闘で優位に立った時点で話を進めたいのだろうが、戦況はウクライナ側の踏ん張りが目立つ。プーチン露大統領が簡単に諦めるとは思えず、戦争の長期化・泥沼化への警戒感はくすぶったままだ。