ドル円の上昇トレンドは継続され、東京時間ですでに約6年1カ月ぶりの120円台に乗せ、欧州市場参入後はさらに上げ幅を拡大している。本日の動きは米金利の動向というよりも、経団連会長が「円安が円安を呼ぶ構造は良くない」と懸念を表明していた状況に陥っている。NY時間もこの円安の流れは続く可能性が高い。
これまでの円安は、日米金利差を背景にしたドル買い・円売りや、多くの国がインフレ懸念で利上げを行う中で、日銀のみが利上げに踏み込めない、いわゆる日本の「一人負け」が円安のきっかけになっていた。
さらに円安に拍車をかけたのが、先週の日銀の姿勢だ。輸入物価指数が急上昇し、ロシアのウクライナ侵攻で原油やコモディティ価格が急騰している中での円安進行(悪い円安)を、金融当局による一定の懸念表明が期待されていた。しかしながら、黒田日銀総裁は円安のメリットを強調したことで、円安を急拡大してしまった。
この円安を止めることが出来るとすると、岸田政権次第ということになる。本日の夕刻に、岸田首相は「原油高・原材料高・食材高には万全に対応する必要がある」「ウクライナ情勢による原油高騰など、新たな危機にも機動的に対応したい」と発言した。しかし、原油価格高騰の悪影響が今後も出てくるのは目に見えており、すでに機動的とは言えない状況だ。ただ本日の一部報道では「円安対策に現実味」と報じている。もし岸田政権が円安対策に動いた時、巻き戻しの勢いは大きいと予想され、そのリスクだけは要警戒となりそうだ。
なお、本日もFRB要人の講演が多数予定されており、その中で注目されるのは米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票メンバーである、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁の発言だろう。メスター氏は2月10日の講演では「0.50%の利上げという強い論拠は見当たらない」と発言していたが、ここ最近はFRB要人の発言がよりタカ派になっていることもあり、同氏も追随した発言となるか注目したい。

