本日のアジア時間では、日銀が10年国債で指し値オペ(0.25%で買入額は無制限)を実施したことで、円安が進んだ。更に日本時間の16時頃には3月29日から31日に連続指値オペを実施すると通告したことを受けて、欧州入り後には125円台まで一時円売りが加速している。日本と極一部の中央銀行以外が利上げに踏み切っているのにも関わらず、日銀の低金利継続姿勢が際立っている。また、他国と比較し輸入物価を中心とした物価高も重荷となり、日本経済に明るい兆しが全く見えないこと、日銀の円安容認を示唆する声も円独歩安の動きを進めている。多少の調整はあるだろうが、この流れは簡単には変わるとは思えず、円安の流れが今週も続きそうな勢いだ。
もっとも、円安の勢いがあまりにも急だったことで調整が入る可能性や、125円台は市場が意識している黒田シーリングでもあることには注意したい。黒田シーリングとはアベノミクスの流れで93円台から円安が急伸し、2015年には125.86円まで円安が進行したことで、黒田日銀総裁が「実質実効相場からみればかなりの円安水準となっている」と発言した口先介入の水準とされている。発言時が124.60円台だったことで同水準がシーリングとする声もあるが、発言後に一時125円を回復していることで、回復した水準の125円前半や上述のアベノミクス後の円最安値125.86円とする声などがある。今後は黒田日銀総裁の発言がより重要視され、125円台まで円安になったのにもかかわらず、黒田日銀総裁の「円安が全体として日本経済にプラスとの構造に変わりない」という発言が繰り返されるかが注目となる。なお、日銀の公表されている予定では、明日午後には雨宮副総裁が「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップでの挨拶予定はあるが、黒田日銀総裁の発言は4月11日の日銀支店長会議まで予定は公表されていない。
円安が進む可能性が高いのは、まだ円安に傾き切れていない市場参加者が多いこともある。商品先物取引委員会(CFTC)が先週発表した、円先物のみのポジション状況は、3月22日時点で円ショートポジションが7万8482枚まで増加したとはいえ、今年の1月18日以来の水準に戻った程度でしかない。昨年11月は10万枚以上、アベノミクス開始後の2014年12月には14万枚超円ショートにしていたことを考えると、まだ海外勢も円ショートにする余地があるだろう。
本日の米国時間の経済指標では2月の米卸売在庫が発表されるが、同指標で市場が動意づくのは難しい。ただし、本日は米2年債と5年債の入札を控えていることで、入札後の米国債の値動きには注目したい。3月上旬に行われた10年債の入札では、低調な結果となったことで、ドル円も連れて動く場面があった。本日も同様の動きには警戒したい。
なお、本日からトルコの仲介によるロシアとウクライナで停戦協議が始まるとされていたが、明日29日からになる可能性が高いと伝わっている。依然として平行線をたどっていることで、ウクライナ情勢での市場の反応は限られつつあるが、化学兵器使用や和平交渉の進展などが報じられる可能性もあることで、引き続き注視しておきたい。

