本日のドル円相場は、アジア時間から乱高下を繰り返している。NY時間も引き続き月末・期末を控えた特殊玉や、ウクライナ情勢で振り回される展開は変わらないか。
月末・期末を控えた特殊玉は、明日31日の東京仲値やロンドンフィックスにかけて大きな商いが期待される。ここ3年は東京仲値にかけてはドル買い・円売りが優勢だったが、昨年のロンドンフィックスはドルが円だけではなく、欧州通貨に対しても売られている。巷では明日の東京仲値にかけての噂が出回っているが、この時点で仲値のすべての情報は分かるはずはなく、現時点で流れている噂はすべて眉唾と思った方が良い。また、特殊玉が市場の動きをかき乱すだろうが、相場のトレンドを作るのは難しいと思われる。
相場のトレンドを形成するのは、引き続きウクライナ情勢ということは変わらない。昨日はロシアがウクライナの一部(キエフとチェルニヒフ付近)で軍事行動を停止すると発表したことで、ユーロドルを中心に買い戻しが入った。ドル円は、はじめは反応が鈍かったが、徐々に原油安の影響もありドル売りに傾いた。しかしながら、すでにロシア国防省が25日に、「東部ドンバス地域の住民の解放に集中する」と公表していたように、キエフ攻撃が進まないことで、東部を中心に攻撃するという、単なる軍事的な方向転換に過ぎず、停戦が進んでいると考えるのは時期尚早か。
昨日の停戦協議後にロシア交渉団が、プーチン露大統領に今回の交渉内容を伝えると述べていることで、露大統領がどのような回答を出すかには注目したい。ただし、ラーブ英副首相が「ロシア政府からのものは全て懐疑的に見ている」と本日も発言しているように、これまでもロシアの虚偽発言は枚挙にいとまがない。露大統領から停戦に前向きな発言が伝わった場合でも、発言内容通りの動きをロシアがするかを確認するまでは動きにくい。また、ラブロフ露外相が中国入りしていることもあり、今後の中国のロシアに対する出方も要注目となりそうだ。
経済指標では、通常は市場を動意づける3月ADP全米雇用報告が発表される。しかしながら、ここ最近はADPの数値が大きく振れていることで、市場の信頼を失いつつある。1月分は30.1万人の減少となったものが、先月に50.9万人の増加に大幅上方修正された。80万人以上も修正をしたことで、信頼性を失っている同指標に市場が動意づけるかは難しい。また、米国のインフレ高進と継続的な利上げは市場がすでに織り込んでいることで、先月の米雇用統計でも市場の反応は限られていた。ADPだけでなく10−12月期米国内総生産(GDP)確定値ほか複数の経済指標が発表され、FRB高官の講演も予定されているが、これらで市場が動くことを期待するのは難しいかもしれない。