本日のNY時間は、日本時間翌5時に発表予定の1月米消費者信用残高以外は、主だった経済指標の発表がない。また、米連邦準備理事会(FRB)も5日からブラックアウト期間に入ったことで、FRB関係者の講演等も行われないことで、ウクライナ情勢のみが市場を左右することになるだろう。
ウクライナ情勢は、袋小路に入っているため、解決の見通しが全く立たない。ブリンケン米国務長官は3日から明日8日まで欧州各国の首脳と会談し、西側諸国の足並みをそろえようとしている。本日は欧州時間午前にリトアニア大統領と会談、午後にはラトビアを訪問する予定。米国と英国はロシア産の原油輸入停止に向けて動いているが、会談後に米国がロシアへの制裁追加を発表する可能性もあるか。
先週発表された商品先物取引委員会(CFTC)の先物のみのポジション状況では、ユーロは前週よりもロングが積み増され、円もショートが積み増しになっている。ウクライナ侵攻にもかかわらず、トレンドと逆行したポジションでもあることで、このポジションの巻き戻しが始まると、まだユーロ売り・円買いの余地もありそうだ。
中長期的には、ウクライナ情勢に解決のめどが立たないことで、それぞれの通貨の特徴で上下することは変わらない。資金決済の問題があり、ロシアをSWIFTから締め出したときには若干のドル買いに傾く場面もあったが、「有事のドル買い」は数十年前までのことで現在は複雑な資金の動きが入り組んでいる。ユーロ圏はインフレが高まる可能性の中で、今後のエネルギー不足による経済停滞でスタグフレーション懸念(=ユーロ売り)、オセアニアやマレーシアはロシア産天然ガスの代替や、小麦などの輸出大国だったウクライナへの代替需要(=オセアニア通貨やリンギット買い)、本邦もスタグフレーション懸念もある中で欧州ほどの地政学リスクが少ない(=円は横ばい)となっている。このトレンドは当面続くことになる可能性が高そうだ。