7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが2.67%台まで上昇し、予想より強い米新規失業保険申請件数も支えに124.00円まで上昇した。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月10日分)でインフレ抑制のためにECBの金融政策正常化が前倒しで進むとの見方が広がり一時1.0938ドルまで上昇も、その後は伸び悩んだ。
本日の東京外国為替市場のドル円は堅調推移が予想されるも、まずは8時50分に発表される日本の2月の経常収支を確認し、海外投機筋や本邦実需筋の動向を見極めていくことになる。2月国際収支速報値の経常収支(季節調整前)は1兆4360億円の黒字と予想されている。
先月8日に発表された1月経常収支(季調前)は、1兆1887億円の赤字となり、2014年1月(1兆4561億円)に次ぐ過去2番目の赤字を記録した。経常収支が昨年12月の赤字3708億円に続いて、2カ月連続して赤字を記録したことで、日本の貿易・経常赤字という構造的な円安への警戒感が高まった。
ドル円は、3月8日には115円台だったが、外的要因としての日米金融政策の乖離、内的要因としての貿易・経常赤字により、ドル高・円安に拍車がかかった。10日に116円台に乗せ、11日には年初来高値の116.35円を上抜けて117.36円まで上昇し、28日の125.09円まで駆け上がって行った。
もし、日本の2月の経常収支が予想通りに大幅な黒字だった場合、年末・年始の経常赤字は、季節要因の可能性が高まり、貿易赤字による円安となり、円安圧力はやや緩和されることになる。なお1月の季節調整済みの経常収支を見ると、1917億円の黒字であり、かろうじて黒字を維持していた。
ドル円の今週の高値は6日が124.05円、昨日7日は124.00円までで、黒田日銀総裁の「円安スピード」牽制発言を意識してか、124円台が重い展開となっている。黒田日銀総裁は、「円安は日本経済にはプラス」との持論を繰り返し、指し値オペによる円安誘導を行ってきたが、円安のスピードへの懸念を表明した。
岸田政権が今月末までの策定を目指している原油価格や物価の高騰に対応するための「総合緊急対策」では、「悪い円安」を抑制する措置が打ち出される可能性が高まっている。円安に関しては、岸田首相、鈴木財務相、神田財務官のラインで、米国と連携して、G7の為替合意を掲げて、口先での円安牽制発言が繰り返されている。
あくまで筆者の個人的な推測なのだが、岸田政権が夏の参議院選挙の勝利を確実なものとするため、輸入物価の上昇を抑える措置を策定しつつ、「悪い円安」を抑える「ステルス介入(覆面介入)」を124円台で行っているのではないだろうか。覆面介入には、本邦通貨当局が隠れて行うドル売り・円買いの介入の他に、本邦機関投資家に外貨建て資産のヘッジ売りを行わせるものもある。

