【今週の概況】

■ドル・円は一時125円09銭、日米金利差の拡大予想で円売り継続

今週のドル・円は上昇。 
米連邦準備制度理事会(FRB)は迅速に金融引き締めを行う必要があるとの見方が広がり、日米金利差の拡大をにらんだドル買い優勢となった。 
3月29日に2015年8月以来となる125円09銭まで上昇した。 
松野官房長官は29日午前の記者会見で、「政府として最近の円安の進行を含め、為替市場の動向や日本経済への影響について緊張感を持って注視していきたい」と述べたことから、ドル・円は121円台前半まで下落した。 
しかしながら、日本銀行は通常の国債買い入れオペを増額し、超長期債を対象とする臨時オペを発動したことから、ドル・円は122円台に反発。 
ロシアとウクライナの和平交渉への期待が後退し、安全通貨としてのドル買いも観測された。 


4月1日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時123円03銭まで買われた。 
この日発表された3月米雇用統計は堅調な内容だったことから、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイントの利上げは正当化されるとの見方が強まり、ドル買いが優勢となった。 
ただ、その後発表された3月ISM製造業景況指数は市場予想を下回り、一部で景気後退の懸念が浮上したことから、ドルは上げ渋った。 
ドル・円は122円56銭でこの週の取引を終えた。 
今週のドル・円の取引レンジは121円28銭から125円09銭となった。 
ドル・円の取引レンジ:121円28銭−125円09銭。 


【来週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、米金融引き締め加速への期待残る

来週のドル・円は底堅い値動きか。 
日本銀行による緩和政策維持などを背景に、ドル高円安の基調は維持されそうだ。 
ドル・円は3月最終週に2015年8月以来となる125円台に一時上昇した後、高値警戒感から行き過ぎた円安を巻き戻す動きが強まった。 


ただ、米国の主要経済指標は引き続き堅調。 
高インフレが懸念されているものの、雇用は改善しており、持続的な景気回復への期待は残されている。 
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め観測が期待され、ドル買い・円売りは継続するとみられる。 
また、日銀の黒田総裁は円安のメリットを強調し、金融緩和の継続や指値オペなど円安誘導を継続している。 
日本政府は為替相場の急激な変動について懸念を表明したが、日米金利差の拡大を想定して、ドルは対円で下げづらい状態が続くとみられる。 


なお、一部の市場参加者は原油相場の行方に注目している。 
ウクライナ和平への期待感が広がるものの、ロシアへの制裁は継続するとみられ、商品価格の高止まりが予想される。 
原油価格の高止まりによって米国経済の減速が再び警戒された場合、リスク回避的な円買いが一時的に強まる可能性は残されている。 


【米・3月ISM非製造業景況指数】(4月5日発表予定)
5日発表の米3月ISM非製造業景況指数は58.3と、前月の56.5を上回る見通し。 
回復の持続は好感され、連邦準備制度理事会(FRB)による一段の引き締め加速へ思惑が広がれば金利高・ドル高の要因になりやすい。 


【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(4月6日公表予定)
3月15-16日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを決定したほか、年内は毎回の利上げ実施の見通しが示された。 
想定以上にタカ派色の強い内容なら金利高・ドル高要因となりそうだ。