海外市場でドル円は、アジア時間に一時129.40円と2002年4月以来約20年ぶりの高値を付けたあとだけに、利益確定目的の売りが優勢となった。一時127.46円と日通し安値を更新した。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーから金融政策の正常化に前向きな発言が伝わったことで、ユーロ買い・ドル売りが入りやすい地合いとなった。
本日の東京時間のドル円は、昨日の大きな調整売りの後だけに上値トライも難しく、127-128円台で神経質な取引となるか。もっとも米国だけでなく、多くの国がインフレ抑制のために急速で大幅な利上げに舵を切りつつある中、指値オペをするほど超低金利を維持している国の通貨(日本=円)を買う理由はほぼ見当たらない。
昨日発表された経済指標でも、南アの3月消費者物価指数(CPI)は予想を僅かに下回ったものの、前年比で南ア準備銀行(SARB)の目標レンジのほぼ上限の+5.9%だった。カナダの3月CPIも前年比で+6.7%、ドイツの生産者物価指数(PPI)は前年比で+30.9%となるなど、大幅な伸びを記録した。
各国ともにインフレ対策が必至で、輸入物価が上昇する自国通貨安を望んでいる国はほぼない。このことを鑑みても、円買い(ドル及び円以外の通貨の売り)を中央銀行が行うことは難しく、基本的な円売りトレンドはなかなか変えることはできないだろう。
本日のアジア時間は市場を動意づける経済指標等の発表も少ないため、引き続き振幅の激しい米金利に連れた動きになりそうだ。しかしながら、米国入り後にはイベントが多数予定されているので要警戒となる。
まずは、現在は調整段階と報じられている日米財務相会談が行われるか否かに注目が集まる。仮に財務相会談が実施されない場合は、米国と円安について共有することはできなかったと捉えることもでき、さらに円安が進む可能性がある。会談が開かれた場合でも、インフレ抑制に対して取り組んでいる米国が、インフレ高進となるドル売りについて日本と共有するコメントを期待するのは難しいか。
また、仮に鈴木財務相が「共有した」との発言が出た場合でも、米国側から直接発言が伝わらない限り信頼性は低い。というのも過去には、首脳会談も含めた日米のトップ級協議で、両者の見解に相違があったにもかかわらず、日本の独自判断により、共有したような会見を開いていた例もあるからだ。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ベイリー英中銀(BOE)総裁が日本時間22日1時半過ぎから講演及びセミナー等に参加することで、欧州引け後の薄い時間の値動きにも要警戒となりそうだ。