25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、世界経済の成長鈍化懸念からダウ平均が一時480ドル超下落し、米10年債利回りが2.75%台まで大幅に低下したことで127.52円まで下落した。ユーロドルは欧州の主要株価指数が軒並み下落したことで1.0697ドルまで下落した。ユーロ円も136.49円まで連れ安に推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日岸田政権が策定予定の原油高・物価高対策での円安抑制措置に注目する展開となる。

 一部報道によると、原油高・物価高対策では6.2兆円の国費が充てられ、民間資金を組み合わせた事業規模は13.2兆円になる。内容は、ガソリン補助金の拡大や中小企業の資金繰り対策、生活困窮者への支援などと報じられている。
 今年夏の参議院選挙は、6月22日に公示、7月10日に投開票と予想されており、岸田政権は完勝を目指して、物価高の要因となっている「悪い円安」を抑制する措置を打ち出す可能性が警戒されている。また、27-28日の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)の変動幅拡大への警戒感が高まっている。さらに、28日に公表される経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2022年度の消費者物価見通しが1%台後半に引き上げられて、30年ぶりの高水準となり長期金利上昇が容認される可能性にも要警戒となる。
 すなわち、今週のドル高・円安に対するリスクシナリオは、岸田政権と黒田日銀の財政・金融政策による円安抑制措置となる。

 中国政府は、昨日、人民元の下落阻止を打ち出した。オフショア人民元は、昨日、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めや中国経済の不透明感などから、ドルに対し1年5カ月ぶりの安値を付けた。中国人民銀行は、金融機関の外貨預金準備率を1ポイント引き下げ8%にすると発表し、人民元安を抑制する措置を打ち出している。

 現状のドル高・円安は、日米の金融政策の乖離、日米10年債利回り格差の拡大観測などが背景にあることで、日本銀行の金融緩和スタンスの変更や指し値オペに代表される国債利回りの上昇抑制措置の撤廃などがなければ円安を抑制することはできない。