27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇を背景に128.59円まで上昇した。ユーロドルはロシアによるユーロ圏へのエネルギー供給不安が高まりユーロ圏経済の不確実性が意識されたことで、1.0515ドルまで下落した。ユーロ円は134.79円まで下落後、135.68円付近まで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合の結果を見極めることになる。
日銀金融政策決定会合のメインシナリオは、金融政策が据え置かれるというもので、日米金融政策の乖離を受けたドル高・円安のトレンドが継続することになる。
昨日のドル円は、126.95円の安値から128.59円の高値まで反発しており、為替市場のコンセンサスも金融政策据え置きを織り込んでいる。
黒田日銀総裁は、国際的な資源価格を反映して今後国内の消費者物価は一時的に上昇するものの、日銀が目標とする「安定的・持続的な2%の物価上昇」、つまり賃金と物価が緩やかに上昇していく状態にはまだ距離がある、との持論を繰り返している。すなわち、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく必要がある」とのスタンスを貫き、金融政策の据え置きが見込まれている。日銀が27・28日の指し値オペを通知していることで、YCC拡大は見送られるのではとの憶測が台頭している。
リスクシナリオは、政策金利のフォワードガイダンス(指針)を引き締め方向に修正するというもので、ドル高・円安トレンドが調整局面に入る可能性を高めることになる。市場では、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の変動許容幅拡大や長めの金利目標の10年から5年への短期化など弾力化の可能性が警戒されている。さらに、経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2022年度の消費者物価見通しが1%台後半に引き上げられて、30年ぶりの高水準となることで長期金利上昇が容認される可能性にも要警戒となる。
このシナリオは、夏の参議院選挙での圧勝を目論む岸田政権の「総合緊急対策」での物価上昇抑制を補完する「悪い円安」対応のための緊急避難的な政策変更となる。
黒田日銀総裁は、2013年の就任以来、政府とのアコードに則って自民党政権の物価政策を補完してきており、2023年の退任を前に岸田政権の物価抑制に与する可能性は低いと思われるものの要警戒となる。