海外市場でドル円は、米10年債利回りが2.95%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時128.70円まで上昇。ただ買いが一巡すると伸び悩む展開になり、128.07円付近まで下押しした。ユーロドルは、欧州市場ではデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁のタカ派発言を受けて1.0936ドルまで買われたが、米長期金利の上昇に伴うドル買いが入り一時1.0831ドル付近まで下押しした。
本日の東京時間のドル円は、時間外の米債券利回り動向をにらみながら、昨日のレンジの中での上下となるか。短期的にはレンジをなぞる可能性は高いが、中長期的な円売りトレンドは変わらないだろう。
G7会合後、鈴木財務相は昨日「(G7で)為替について最近の急激な円安について説明した」「為替レートは市場において決定」と発言。黒田日銀総裁は「為替はファンダメンタルズに反映して安定推移が望ましい」と述べた。いずれも訪米前からの内容とほぼ変わらないだけでなく、G7声明文に為替への言及がなかったことも明らかにされた。
日本以外ではインフレ高進への対策を講じている中、インフレ要因となる自国通貨安を望んでいる国はない。よって、引き続きファンダメンタルズの弱い日本(円)売りのトレンドが変わることはないだろう。
本日は本邦3月消費者物価指数(CPI)が発表され、市場予想は前年比で1.2%上昇。生鮮食料品を除くコア指数は0.8%上昇、生鮮食料品とエネルギー除くコア・コア指数は0.8%の低下予想だ。
他G7各国の同月CPI(前年比)の上昇率は、米国は8.5%(コア6.5%)、英国は7.0%(コア5.7%)、独・仏・伊がそれぞれ7.3%、4.5%、6.8%、加は6.7%となっている。仮に本邦CPIが上振れた場合でも、他国とのインフレの乖離は大きく、円買いは難しいだろう。そういった中でリスクとしては、市場予想より下振れた場合か。
ドル円以外の通貨では、ユーロが欧州入り後に発表される各国PMIの結果に左右されそうだ。ただし最大のリスク要因は、週末に行われるフランス大統領選の決選投票だろう。
前回2017年の大統領選挙でマクロン大統領は「(極右や極左のような)偏った政党に投票する理由がなくなるようにあらゆることを行う」と宣言した。しかし、極右のルペン候補が善戦をしているため、5年前の公約をマクロン大統領は果たせなかったとされている。米CNNは選挙結果でルペン候補が敗北しても「すでに極右は勝利を収めている」と報じた。たとえ現職のマクロン大統領が再選した場合でも、フランスの行方を危ぶむ声が多いことは念頭に入れておきたい。