欧州参入後にドル円は2002年5月以来となる126円台まで上昇している。本日のNY時間も多少の利食いなどの調整が見られても、円安地合いは継続されるか。
欧州入り後に買われたドル円だが、第97回信託大会で黒田日銀総裁が「強力な緩和姿勢を継続」と発言しただけでなく、円安についても特別言及しなかったことが円売りに拍車をかけた。また、松野官房長官が「円安進行を含め、為替市場の動向を注視」としたものの、「為替レートは市場において決定される」と発言したことも円安の呼び水になった。日本の平均賃金が約30年も上昇しない中で、ロシアによるウクライナ進行の影響もあり輸入物価指数が前年比で3割超上昇するなど、景気低迷下のインフレ高進(スタグフレーション)懸念があるものの、本邦中央銀行も政府も円安を容認していると市場は捉えている。
また、本日もNZ準備銀行(RBNZ)が0.50%利上げしたように、世界中の中央銀行がインフレ抑制のために利上げを速めている。日銀と同様に利上げに対しては消極的だった豪準備銀行(RBA)も、先週の理事会声明文でこれまでの利上げへの慎重姿勢と思われる文言を削除した。文字通り日本経済は世界中で一人負けとなり、仮に日銀及び政府が円安についての懸念を表明した場合でも、一瞬の円買いの巻き戻しが入ったとしてもファンダメンタルズの弱さから円売りは変わらないか。
本日のNY時間では3月米卸売物価指数(PPI)に注目が集まる。昨日の消費者物価指数(CPI)では、市場が過大に強い結果を期待していたことや、コア指数が若干弱かったことでドル売りが進んだ。しかしながら、結果的にみるとこのCPIでのドル売りが絶好の買い場を与えた。昨日と同じ轍を踏まないように、本日PPIでドル円が下がることがあれば、その水準では買い遅れの市場参加者が買いを待ち構えている可能性が高い。むしろ、本日のPPIが予想よりも強い結果で、買い場を与えずに上昇するポジティブサプライズに警戒したい。
なお、本日から米金融機関の決算発表が始まる。決算内容次第で米株の動きが神経質になることもありそうだ。

