4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りの上昇や原油価格の上昇を受けて122.96円まで上昇した。ユーロドルはウクライナ情勢への警戒感や米長期金利の上昇を受けて1.0961ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策の乖離を受けた日米金利差の拡大基調を背景に底堅い展開が予想される。また東京午後に金融政策を発表する豪準備銀行(RBA)の声明内容も注目される。
5月3-4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5%の利上げの可能性が高まっており、日本銀行は粘り強い金融緩和策を継続し、4-6月期の長期国債買い入れ増額で長期債の利回り上昇を抑える姿勢を示している。
ただドル円の上値を抑える懸念材料としては、岸田政権が原油価格や物価の高騰に対応するための「総合緊急対策」で「悪い円安」への警戒感を示していることになる。ドル円は、3月28日に日銀の29−31日の連続指し値オペ通告を受けて125.09円まで上昇したが、翌日から政府サイドから「円安牽制」と受け止められる発言が相次いだ。
通貨政策を所管する鈴木財務相が、水準には言及しないとしつつも「悪い円安にならないよう確り注視する」と発言した。そして、通貨政策の事務方トップである神田財務官が、来日中のボーコル米財務次官との日米財務官協議の後、為替に関して「日米の通貨当局間で緊密な意思疎通を図っていくことを確認した。G7やG20での為替に関する合意を維持していくことも確認した」と述べた。
さらに、岸田首相は、「為替について米国などと意思疎通を図りつつ適切に対応する」と述べている。すなわち、円安に関して、岸田首相、鈴木財務相、神田財務官のラインで、米国と連携して、G7の為替合意を掲げて、口先での円安抑制が警告されており、今後も、円安に関する発言には要警戒となる。
榊原元財務官は先月28日、1ドル=123円前後で推移する足元の為替水準なら政策対応は不要だが、130円を上回る円安が進めば介入などが必要になるとの認識を示した。1998年4月10日、榊原元財務官は、130円台の円安を抑制するため過去最大規模のドル売り・円買い介入(2兆6201億円)を断行した人物であり、6月には日米協調のドル売り・円買い介入も断行した。
13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の金融政策は政策金利据え置きが予想されている。しかし、豪政府が経済成長予測を上方修正したこと、失業率も7-9月期に3.75%へ低下する見通しを発表したことで、声明文でのハト派色後退のサプライズに要警戒となる。すなわち、利上げに関して「忍耐強く(patient)ある」との文言を削除した場合や、景気が想定外の強さを維持しているとの認識が示された場合は、豪ドル上昇に弾みがつくことになる。
ロウRBA総裁は、3月の講演で、最近の世界的な商品価格高騰によりインフレが押し上げられることを考慮すると、借り手は今年の金利上昇に備えることが妥当だとの見解を示した。しかし、国内のコアインフレ率は2.6%と依然抑制されており、賃金も緩やかな伸びにとどまっていることから、利上げまでには時間的猶予があるとの認識も示している。