6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時3.14%台まで上昇したことで、130.16円付近から130.71円付近まで堅調に推移した。ユーロドルはビルロワドガロー仏中銀総裁やナーゲル独連銀総裁から早期の利上げを支持する発言が相次いだことで1.0599ドルまで上昇した後、米長期金利の上昇を受けて上値を切り下げた。ユーロ円はECB当局者のタカ派発言を受けて利上げ観測が高まり138.16円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、ロシアの対独戦勝記念日に警戒する展開となる。
昨日、主要7カ国(G7)首脳は、ウクライナのゼレンスキー大統領を招いてビデオ会議を開催して「ロシア産原油輸入の段階的廃止や禁止を含め、ロシア産エネルギーへの依存を段階的に低下させることにコミットする」ことを表明した。
本日、ロシアは第2次世界大戦の対ナチス・ドイツ勝利を祝う対独戦勝記念日を迎えるが、プーチン露大統領が「特別軍事作戦」と称しているウクライナ侵攻を「戦争」に引き上げて宣戦を布告し、国家総動員を発令するのではないか、との警戒感が高まっている。
プーチン露大統領は、空中指揮機「イリューシン(IL)80」を聖ワシリイ大聖堂の上空を飛行させる予定、と報じられている。IL80は核戦争勃発時に大統領らが乗り込むことから「終末の日の飛行機」と呼ばれており、西側諸国に対して「終末の日」を示唆する警告を発すると見込まれている。
一方、ウクライナ大統領府のオレクシイ・アレストビッチ顧問は、米欧から提供される武器がそろう6月中旬以降にロシア軍への反転攻勢に乗り出すとの考えを示しており、ウクライナ情勢は、悪化の一途を辿る可能性が高まりつつある。
なお先週末発表された米国4月の雇用統計は、失業率が3.6%で3月から変わらずだったものの、非農業部門雇用者数は前月比+42.8万人の増加となり、予想の+39.1万人を上回った。しかし、5月4日にパウエルFRB議長が「賃金の伸びやインフレの鈍化を狙っている」と言及していた平均時給は、前月比+0.3%、前年同月比+5.5%となり、3月の前月比+0.5%、前年同月比+5.6%から低下していた。4月の平均時給の減速が持続的な鈍化傾向の始まりなのか、あるいは一時的な減速に過ぎないのか、5月以降の数字を見極めていくことになる。
今週発表される米国4月の消費者物価指数は、前年比+8.1%と予想されており、3月の前年比+8.5%からの鈍化が見込まれている。想通りならば、市場の一部で囁かれ始めている米国のインフレピーク説を裏付けることになる。