9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は130.12円まで下落した。米国株相場が大幅に下落したことによるリスク回避の円買い、また米10年債利回りが3.20%台から3.02%台まで急低下したことでドル売りが強まった。プーチン露大統領が「戦争宣言」を行わなかったことで、ユーロドルは1.0593ドルまで上昇後に伸び悩んだ。ユーロ円は137.07円まで下値を広げる場面があった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けたドル売りや世界的な株式市場の下落を受けたリスク回避の円買いで上値が重い展開が予想される。しかしながら、本日NY時間に発表予定の米国のインフレ対策への期待感から下値も限定的となりそうだ。
昨日のドル円相場は、日米金融政策の乖離、日米10年債利回り格差の拡大観測などを背景に131.35円まで上昇した。しかし、131円台では、9月末の輸出予約が130円台で出来上がることから、本邦輸出企業からの断続的なドル売りオーダーが控えていたことで、続伸は抑えられた。
明日発表される米国4月の消費者物価指数(CPI)を控えて、本日、バイデン米大統領がインフレ対策を発表する予定となっている。
バイデン米大統領は、昨年来、パウエルFRB議長に対してインフレを抑制するために、早期の金融政策の正常化を要請してきた。インフレ対策のリスクシナリオとしては、バイデン米政権による米連邦準備理事会(FRB)に対する金融引き締め圧力が挙げられる。そして現状のドル高に関しては、過去最大規模の貿易赤字にも関わらず、インフレ抑制のために容認することが予想される。また原油価格の上昇に対しては、戦略石油備蓄(SPR)の放出拡大やシェールオイルへの支援などが想定される。
明日発表される米国4月の総合CPIは前年同月比+8.1%、コアCPIが前年同月比+6.0%と、いずれも3月の+8.5%、+6.5%に比べて減速予想。鈍化見込みの背景としては、モノに対する過剰な需要が弱まりつつあることが挙げられている。
ユーロドルは、プーチン露大統領が昨日のロシアの対独戦勝記念日でウクライナへの戦争宣言をしなかったこと、終末の日の飛行機の飛来もなかったことで反発した。しかしながら、ウクライナ戦争の終息が見えないことから上値は限定的か。
ポンドドルは政局混乱が重しとなりそうだ。ジョンソン英政権が統一地方選で敗北し、北アイルランド自治議会選挙では、「南北アイルランド統一」を標榜してきたシン・フェイン党が第1党となった。