29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米個人消費支出(PCE)や1−3月期米雇用コスト指数が予想より強い内容だったことで130.38円付近まで強含む局面があった。しかし、4月米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)や4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)確報値が予想を下回り、月末のロンドン・フィキシングに絡んだ円買い・ドル売りで129.32円まで反落した。ユーロドルは1.0510ドル付近から1.0579ドル付近まで上昇した。ユーロ円は136.51円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ゴールデンウィークの連休の谷間であり、明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控えていることで動きづらい展開が予想される。

 4月29日のニューヨーク市場では、ダウ平均が939.18ドル安で引け、米10年債利回りは2.93%台まで上昇(※債券価格は下落)し、ドルは月末ロンドン・フィキシング絡みの売りが観測された模様で、株安・債券安・ドル安のトリプル安となった。
 本日の日経平均株価はNY株安の影響で下落が予想されることで、リスク回避の円買い要因となる。4月30日に中国国家統計局が発表した4月の製造業購買担当者指数(PMI)は47.4、非製造業PMIは41.9と低下していたこともリスク回避要因となる。また、ウクライナ情勢に関して、プーチン露大統領が5月9日の対独戦勝記念日にウクライナ戦争の勝利宣言を目論んでいること、あるいは「特別軍事作戦」を拡大転換してウクライナに正面切って「宣戦布告」して本格的な戦争状態となる可能性も浮上していることで、不確実性を増している。

 一方で、明日からのFOMCでは0.50%の追加利上げが見込まれており、6月のFOMCでは、バランスシートの縮小開始が見込まれ、金利スワップ市場は0.75%の大幅利上げを織り込みつつある。すなわち、日米の金融政策の乖離、日米10年債利回り格差の拡大観測を材料としたドル高・円安トレンドは継続していくと予想されることで、一目均衡表・転換線129.10円付近でのドル買い意欲は旺盛だと思われる。
 ドル円の上昇トレンドにブレーキをかける材料としては、先週の財務省幹部の発言「為替の足もとの動きは極めて憂慮すべき。必要な場合には適切な対応を取る」に示唆されるドル売り・円買い介入である。すなわち、岸田政権が、夏の参議院選挙に向けて輸入物価上昇の要因となっている「悪い円安」を抑制する姿勢を示すために、緊急避難的なドル売り・円買いの為替介入に踏み切る可能性に要警戒となる。

 1990年代以降、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、91年6月の高値142.02円付近の130円台(91年5月〜92年8月)、98年8月の高値147.64円に向けた130円台(97年11月〜98年6月)の2つの時期に実施されている。

 ユーロドルは、4月の消費者物価指数速報値が前年比+7.5%と過去最高を更新したことで、現在マイナス0.5%の中銀預金金利が引き上げられる可能性が高まりつつある。懸念材料は、ウクライナ情勢の不透明感とロシアのポーランドとブルガリアへの天然ガス供給停止などによるエネルギー危機となる。
 ポンドドルは、5月5日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)と北アイルランド議会選挙を見極めていくことになる。