海外FXブローカーでは、MT4、MT5、cTraderの3種類の取引プラットフォームが用意されていて、トレードスタイルや用途にあわせて選ぶことができます。

この記事では、取引プラットフォームそれぞれの特徴や違いについて解説します。

MT4MT5cTrader
開発元企業MetaQuotesMetaQuotesSpotware
提供開始2005年2010年2011年
取扱銘柄会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
取引方式会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
レバレッジ会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
スプレッド会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
取引量会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
取引手数料会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
取引可能時間会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
入金・出金額会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
成行注文
(逆)指値注文
ワンクリック取引
板注文x
銘柄の検索機能x
分割決済xx
一括決済xx
予定損益の表示xx
日本時間表示xx
テクニカル分析ツール
標準のインジケーター30種類38種類66種類
標準の描画ツール31種類44種類22種類
カスタムインジケーター非常に豊富MT4より少ない少ない
リクオート会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
マージンコール会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
ストップアウト会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
ヘッジング会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
ゼロカット会社/口座次第会社/口座次第会社/口座次第
Webトレーダー
マルチターミナルx
モバイルiOS、AndroidiOS、AndroidiOS、Android
タイムフレーム9種類19種類26種類
DOMx
EA
プログラム言語MQL4MQL5C#
両建て
対応ブローカーほぼ全て一部ごく一部

MT4(MetaTrader 4)の特徴

一番人気のプラットフォーム

MT4 (MetaTrader 4)は2003年にリリースされたプラットフォームで、ほぼすべての海外FXブローカーで採用されているほか、日本国内でも取り入れているブローカーがあり、海外FXのスタンダードなプラットフォームと言ってても良いでしょう。

操作性や機能性の面で古臭さを感じてしまいますが、今でも多くとトレーダーが利用しています。

自動売買・シグナルトレードに強い

MT4はかなり歴史が長いだけあり、有志のよって様々な自動売買のプログラム(EA)やインジケーターが開発されて来ました。

詳しくは後述しますが、2010年に新しいMT5がリリースされたものの、プログラミング言語の互換性の問題から移行が進まず、未だに多くの開発者がMT4向けのEA・インジケータを作っています。MT5用のEA・インジも徐々に増えてきましたが、それでもまだまだMT4には及びません。

また、開発元のMetaQuotes社が運営しているコミュニティサイト「MQL5.com」では、シグナルトレードのサービスが提供されていて、好きなシグナルを購読するだけで自動売買ができます。ここでもやはり、MT5よりもMT4のほうが選べるシグナルが多く、長年利益を積み上げている優秀なシグナルもあります。

機能性は他のプラットフォームに劣る部分も

リリースからもうそろそろ20年を迎えるMT4は、さすがにUIの古臭さが否めず、操作性や機能もMT5に劣る部分が多々見受けられます。

昔のパソコン向けに開発されたこともあり、マルチスレッド処理に対応しておらず、動作の遅さも否めません。

時間足や標準インジケータの数や描画ツールの種類も、MT5のほうが充実しています。

MT5(MetaTrader 5)の特徴

MT4よりも時間足や分析ツールが増えている

MT5は、MT4の機能をベースにしつつさらなる拡充がされていて、時間足や分析ツールが増えています。

時間足は、MT4が9種類とやや少なかったのに対し、MT5ではなんと21種類に。倍以上に増えています。

MT4の時間足

1分, 5分, 15分, 30分, 1時間, 4時間, 日足, 週足, 月足

MT5の時間足

1分, 2分, 3分, 4分, 5分, 6分, 10分, 12分, 15分, 20分, 30分, 1時間, 2時間, 3時間, 4時間, 6時間, 8時間, 12時間, 日足, 週足, 月足

また、標準のインジケータや描画ツールも増えていて、より柔軟なテクニカル分析ができるようになりました。

裁量トレードをするならMT4よりもMT5を選んだほうが便利と言えるでしょう。

マルチスレッド対応でより高速に

マルチスレッド処理に対応したことで、最近のパソコンではMT4よりも格段にスピーディーに動作するようになり、MT4のモッタリ感を見事に解消しています。インジケータや自動売買(EA)の処理速度も上がっています。

たくさんのチャートを一気に表示して、複数の通貨ペア・銘柄を同時に監視したいトレーダーは、処理が速いMT5を選ぶべきです。

MT5よりも多くのCPUパワーやメモリを消費しますが、最近のパソコン性能に見合った作りといえるでしょう。

自動売買ではMT4に遅れを取っている

機能面では大きく進化したMT5ですが、唯一MT4に負けているポイントが自動売買です。

MT4で採用されていたプログラミング言語「MQL4」はMT5では使えず、新しく「MQL5」が採用されましたが、残念ながらMQL4とMQL5は互換性がありません。そのため、MQL4でEAやインジケータを開発してきたプログラマーの多くが、MQL5への移行を諦めてしまいました。

MT5のリリースから10年経ち、最近になってようやくMT5向けのEA・インジケーターも増えてきましたが、それでもまだまだ自動売買の分野ではMT4がスタンダードとなっています。

cTraderの特徴

透明性・約定力が抜群に高い

cTraderはもともとECN方式に特化して作られたプラットフォームなので、MT4よりも約定スピードが速く、なおかつ透明性の高さも保証されています。

MT4では、ブローカー側が注文を裁くSTP方式を前提としているため、原則としてトレーダーが流した注文が直接市場に届くことはありません。しかし、cTraderはDMA(ダイレクトマーケットアクセス)で、マーケットへ流れた注文同士が自動的にマッチングする仕組みとなっており、透明性に長けたシステムといえるでしょう。

約定スピードは、取引する銘柄や発注するロット数に応じて変わりますが、メジャー通貨ペアで10lot(100万通貨)くらいまでであれば、ワンクリック注文を連打しても瞬時に約定する印象です。経済指標の発表時など、相場が大きく動く場面でもcTraderはサクサクと約定するので、シビアなタイミングが求められるスキャルピングに適しています。

MetaTraderには無い機能がたくさん

cTraderはMetaTraderにはない機能がたくさん盛り込まれています。

注文機能ひとつ見ても、ドテン注文(買いを決済して即座に売りを建てるなど)や、全ポジションの一括決済、通貨ペア別の一括決済など、MetaTraderには無い機能がたくさんあります。注文前に利確ライン・損切りラインの予定損益を確認することもできます。

さらには、完全に日本語対応していて、チャートの表示時間を日本時間(UTC+9)に切り替えることもできるので、日本人にも優しい作りといえるでしょう。

また、MT4にはない取引板が備わっており、どの価格帯にどれほどの売買注文が出ているかを確認できるのも、cTraderならではの魅力です。

自動売買やカスタムインジケータが少ない

使いやすさや機能性など、どこをとってもMetaTraderの一枚上手に感じますが、自動売買やカスタムインジケーターの数が少ないというデメリットがあります。

cTraderにも、MetaTraderのMQLに相当する言語として「cAlgo」が備わっていて、「cBot」と呼ばれる自動売買プログラムを動かせます。しかし、ネット上での情報が限らているので、cBotの開発にはかなり知識と時間を要するでしょう。

既に開発されたものを導入するにしても、そもそもcTraderのユーザー数が少ないため、cBotやカスタムインジケータの配布も盛んではありません。

自動売買をするならMT4を選んでおくのが無難です。

プラットフォームの選び方

改めてそれぞれのプラットフォームの特徴をまとめます。

  • MT4:UIや操作性は古臭いが、自動売買(EA)・カスタムインジケータが充実している
  • MT5:MT4をベースに機能性と使いやすさを向上させているが、自動売買には弱い
  • cTrader:MT4やMT5よりも格段に使いやすく約定力にも優れているが、自動売買をするのは非現実的

これらの特徴を踏まえ、プラットフォームの選び方をまとめると、次のようになります。

  • スキャルピング・デイトレードをするなら:cTraderがおすすめ!
  • MT4の操作感のまま、より快適に裁量トレードをするなら:MT5がおすすめ!
  • 自動売買やシグナルトレードをするなら:MT4がおすすめ!

MT4・MT5・cTraderの3種類に対応しているブローカーは数少なく、日本人が口座開設できるのはAXIORY・Tradeview・FxProの3社しかありません。

ブローカーの比較は下記記事を参照してください。

https://project-temis.blogspot.com/2021/11/ctrader.html